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映画ノート

【映画】ハッピーエンドが書けるまで


ハッピーエンドが書けるまで(2012)アメリ
原題:Stuck in Love
監督:ジョシュ・ブーン
日本公開:2015/6/27


あらすじ
著名な作家ビルは娘のサマンサと息子ラスティとともにサンクス・ギビングの食卓を囲んでいる。
ビルは離婚し三年になるというのにいまだに元妻に未練がある。娘のサムは両親を離婚に追い込んだ母を憎み、感謝祭に母の席まで準備する父に苛立ちを隠せない。そんな折、同級生のルイスはサムに心を寄せアプローチしてくる・・

感想
『きっと、星のせいじゃない』のジョシュ・ブーンのデビュー作。
母と離婚した父と、2人の子供たちそれぞれの愛の形と成長を描くロマンチック・コメディです。




ヒロイン、サマンサ(サム)を演じるリリー・コリンズは両親の離婚がトラウマになってか、傷つくことを怖れるあまり人を愛さないし結婚もしないと決めている。
それでも本のネタのために男をナンパするサムには驚いたし、性格がいいとはとても言えない。でもリリーなのでやっぱり可愛い。

そんな彼女に接近するのがローガン・ラーマン演じるルー。
ルーがサムのどこに興味を持ったのか、彼女を想いはじめるきっかけは何だったのか
そのあたりがあまり描かれてないんですが、ルーの積極的なアプローチにサムも頑なだった心を開いていくんですね。
自分の好きな音楽としてルーがエリオット・スミスの「Between the Bars」を紹介するシーンでは、自分を理解する存在に出会えたことに涙するサムに思わずもらい泣きしてしまいます。



息子のナット・ウルフは大のキング好きというところからして監督自身の投影でしょう。青春の浮き沈みを経験するナットのパフォーマンスはキャスト中一番よかった。

映画などでも、感謝祭に離婚した両親それぞれの家で過ごすシーンをよく観るけれど
子供たちはやっぱり大変だよね。
本作ではそんな子供たちの痛みが描かれているところに共感する人も多いんじゃないかな。臭いものに蓋をしないフランクな演出は特にティーンの心をつかみそう。
ただし、少々倫理性に欠くと思うシーンがあるのは気になるところ。
日本ではPG12になってるけどアメリカではR指定なんよね。
あれやらこれやらはカットするということかな?
クリステン・ベル登場シーン、面白いんですけどね。

感謝祭の食卓シーンから始まり、翌年の感謝祭で終わる本作、感謝祭はいつだって家族の絆を描く最高の舞台になりますね。
一年の間に家族に起きた変化とそれぞれの成長に、あたたかい気持ちになりました。
劇中出てくる小説家や本の名前に疎い私はピンとこないものが多く残念でしたが、これは文学系ティーンズ向けかな。キングファンは特に嬉しいはず。