【映画】悪党に粛清を
悪党に粛清を(2015)デンマーク/イギリス/南アフリア
原題:The Salvation
監督:クリスチャン・レヴリング
脚本:アナス・トマス・イェンセン/クリスチャン・レヴリング
出演:マッツ・ミケルセン/ エヴァ・グリーン/ジェフリー・ディーン・モーガン/ エリック・カントナ/ ミカエル・パーシュブラント/ ダグラス・ヘンシュオール/ マイケル・レイモンド=ジェームズ
【あらすじ】
1870年代アメリカ。デンマークから新天地を求めてアメリカへとやって来た元兵士のジョン。7年が経ち、事業もようやく軌道に乗ってきたところで、祖国から妻子を呼び寄せる。駅で感動の再会を果たした3人は、さっそく駅馬車で家へと向かう。ところが運悪く、駅馬車に刑務所帰りのならず者2人が乗り合わせてきた……。
【感想】
クリスマスのシーズンになりました。
クリスマスに観たい映画は・・という特集もいいけれど
今年はあえて趣向を変えて、移民を扱った作品を取り上げます。
今ヨーロッパで問題になっている中東からの移民ではなく
その昔ヨーロッパから新天地を求めてアメリカに渡った移民について。
今アメリカで賑やかにクリスマスが祝われるのも、移民が運んできた文化だと思うので。
前置きが長くなりましたが、今日はマッツ・ミケルセン主演のデンマーク発西部劇です。
マッツ演じる主人公のジョンは兄ピーターと共にアメリカに移民してきた男。
2人の寡黙なたたずまいが、移民の男たちの覚悟の程を覗かせます。
ようやく仕事も軌道に乗り、デンマークから妻と10歳の息子を呼び寄せることになったジョン。
しかし家族の再会という幸せは、駅馬車に乗り合わせたならず者によってあえなく壊される。
銃で脅され、馬車から突き落とされたジョンがみつけるのは、レイプされ殺された妻と息子の亡骸。
怒りに任せジョンはならず者2人を撃ち殺すんですが、
そのうち一人が村を牛耳るデラルー大佐の弟だったことから、彼は窮地に追い込まれるんですね。
妻子を失った悲しみも癒えないジョンが兄ともども捕らえられ痛みつけられる姿に
不条理な結末しか思い描けずどよよん・・・
ところが、映画は思わぬ反撃をみせてくれます。
マッツさん渋いわぁ。
この映画の面白いのは、デンマーク人が描く西部劇という点。
村人を震え上がらせる権力者デラルー大佐(ジェフリー・ディーン・モーガン)が暴漢になってしまったのは
インディアンを大虐殺した心の闇からくるというところなど
アメリカ産の昔の西部劇では触れてこなかった部分でしょう。
ジョンの死闘も単なる命逃れの抗いとせず
英雄伝説に仕上げているところが心憎い。
勇気ある若者や美しいエヴァ・グリーンの存在も必須。
石油王誕生を示唆するラストシーンには胸のすく思いでした。