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映画ノート

【映画】ぼくとアールと彼女のさよなら

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ぼくとアールと彼女のさよなら
(2015)アメリ
原題:Me and Earl and the dying Girl
監督:アルフォンソ・ゴメス=レホン
脚本:ジェシー・アンドリュース /アルフォンソ・ゴメス=レホン
出演:トーマス・マン / オリヴィア・クック/RJ Cyler /モリー・シャノン
日本公開:未定

【あらすじ】
幼馴染のアールと自主映画の制作を楽しむ高校生のグレッグは、ある日両親に同級生のレイチェルが白血病と診断されたことを聞かされる。


「行って励ましてあげなさい」
両親にそう言われ、白血病の同級生レイチェル(オリヴィア・クック)を訪ねるところから始まる本作

トーマス・マン演じるグレッグ君はレイチェルを訪ねるうち、少しずつ友情を深めていきます。
目立たず、つるまず、目的意識も持たないまま毎日をやり過ごすグレッグですが、
唯一嵌っているのが、幼馴染のアール(RJ Cyler )とクラシック映画のパロディフィルムを撮ること。

ある日友だちに勧められ、レイチェルのために映画を作り始めるグレッグですが
同級生たちの「励ましの言葉」を集めても何かしっくりこないままに時が流れフラストレーションをつのらせます。
やがて彼に卒業の時期が近づき、レイチェルもまた症状を悪化させていくのですが・・・

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ジェシー・アンドリュースの同名小説を元に、『グリー』『アメリカン・ホラー・ストーリー』などのアルフォンソ・ゴメス=レホンがメガホンを取り、原作者アンドリュースと監督が共同で脚本を手がけた青春ドラマです。

スコセッシに憧れ17歳でメキシコから渡米し、スコセッシのもとで映画作りを学んできたらしい監督は、
グレッグに自分自身を重ねたようですね。


グレッグたちの作るパロディ映画はオリジナルを知らないものもあったけど、映画好きはニヤリなはず。
『Peeping Tom』 が『Pooping Tom』になってたりね(笑)
ところどころ挟まれるストップモーション風の映像も楽しい。

グレッグがレイチェルにプレゼントするモンタージュがまたよくてね。
画面に映し出される表情に慈しみや愛しさが溢れ、自然に涙が出てくるんですよ。
いい映画は言葉を超えて人の心を動かすんだと気づかされます。

映画の中、担任教師が「父親を早くに亡くしたけれど、そのあとも父からは沢山のことを学んでいる」と語るシーンは
まさに映画の根幹をなすもの。

難病ものではあるけれど、死ぬことを哀しむ映画ではなくて
人がいかに人の力になれるかを描く映画といえるかな。

ラスト15分に味わう映画的感動たるや!

今年のサンダンス映画祭で審査員賞と観客賞をダブル受賞
クラシックなどを盛り込んだ音楽もいい。秀作です。