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映画ノート

【映画】ストレイト・アウタ・コンプトン

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ストレイト・アウタ・コンプトン(2015)アメリ
原題:Straight Outta Compton
監督:F・ゲイリー・グレイ
脚本
:ジョナサン・ハーマン/ アンドレア・バーロフ
出演:
オシェア・ジャクソン・Jr / コーリー・ホーキンズ / ジェイソン・ミッチェル/ オルディス・ホッジ 
 
  

 【あらすじ
1986年、アメリカ屈指の危険な街、カリフォルニア州コンプトン。暴力とドラッグがはびこるこの街では、黒人というだけで警察から容赦ない取り締りの対象となってしまう。そんな中、元売人のイージー・EはDJのドクター・ドレー、作詞ノートを持ち歩くティーンエイジャー、アイス・キューブらとともにN.W.A.を結成、自分たちの周りで起きている現実をラップにして世の中に訴えた。彼らの才能に目をつけたジェリー・ヘラーがイージー・Eと共同でルースレス・レコードを設立、たちまち大ブレイクするN.W.A.だったが…。


【感想

アカデミー賞授賞式まで1週間を切りましたね。
今年は俳優部門20人に黒人が一人もノミネートされていないことから、「オスカー・ソー・ホワイト」と批判が噴出。
ボイコットを表明する者もいて、アカデミー側も今後黒人と女性会員を増やすと表明するなど波乱の幕開けとなりました。
司会のクリス・ロックがこの問題をどう斬るのか気になりますね。

さて、そんなオスカーノミネート作品の中、貴重な黒人映画となるのが脚本賞にノミネートされた『ストレイト・アウタ・コンプトン』。
4人の脚本家たちは全員白人ですけど(汗)

伝説のヒップホップグループN.W.A.誕生からの軌跡を描く本作
ここのところ続いた音楽伝記ものの中でも異質なのは、
差別と犯罪の悪循環を絶つことができない黒人社会の憤りが伝わる社会派映画の一面を持っていること。

黒人を見れば犯罪者と決めつけ、非人道的に取り締まる警官たちに対し、
「警察クソ食らえ!」と言いたくなるのは無理もないわけで
迫害の状況を十分に見せておいて、封じ込めていた思いをラップにして歌い
コンサート会場を熱狂させる様子は見ていて痛快。
ヒップホップ音楽の魅力を効果的に伝えているといえるでしょうね。
ジャンルに特に興味のなかった私でも身体揺らしてリズムとってたもんな。

しかし、成功してお金が入ると、これまでとは違った価値観が生じる。
純粋に音楽をやりたいもの、そうでないものとの確執も大きくなり、グループは分裂してしまいます。

スラム街コンプトンを出ることを夢見たドクター・ドレ
コンプトンに似合いの体たらくに成り下ったグループに身を置く自分に気づくシーンは痛い。
それでも最後に振り出し地点に戻り、再び夢を追いかけようとするところは爽やかで
でもそれを阻む理由に泣けるんですよね。

成功と挫折、友情と確執、出会いと別れ
80年代の郷愁と共に、ファンにはたまらない映画でしょう。

ちなみにタイトルの『ストレイト・アウタ・コンプトン』はプラチナヒットとなったグループの最初のアルバム名。
「コンプトンから来たもんじゃが文句あっか?」って感じ?(笑)

若きアイス・キューブを演じるオシェア・ジャクソン・Jr(左) アイスの実の息子だそうで
お父さんより体格がいいですが、やはり似てますね。
というか、オーディションで選ばれたというメンバー役の皆さん、それぞれ本物によく似てました。

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