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映画ノート

【映画】キャロル

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キャロル
(2015)イギリス/アメリカ/フランス
原題:Carol
監督:トッド・ヘインズ
原作:パトリシア・ハイスミス
脚本:フィリス・ナジー 
出演:ケイト・ブランシェット / ルーニー・マーラ / サラ・ポールソン/ ジェイク・レイシー / カイル・チャンドラー/  ジョン・マガロ/ コーリー・マイケル・スミス/ ケヴィン・クローリー 
   
【あらすじ
1952年、クリスマス目前の活気あふれるニューヨーク。フォトグラファーになる夢を持ちながらどこか満たされない日々を過ごすテレーズは高級百貨店のおもちゃ売り場でアルバイト中、ゴージャスな毛皮のコートを着た女性キャロルの優雅な佇まいに釘付けとなる・・・
 

【感想
アフターオスカー特集中です。
今年度の主演女優賞は『ルーム』のブリー・ラーソンが強かったですね。
誘拐監禁中のヒロインという題材の目新しさもあり、ディカプリオ同様、後半は頭一つリードしての受賞でした。

さて、今日はケイト・ブランシェットが主演女優賞に、ルーニー・マーラ助演女優賞にノミネートされた『キャロル』。
美しい人妻キャロル(ケイト・ブランシェット)と、デパートでアルバイトをしていた若いテレーズ(ルーニー・マラ)が出会い
恋に落ちるさまを描くロマンス映画です。

タイトルロール、キャロルを優雅に演じたブランシェットは完璧だったんじゃないでしょうか。
ただ『ブルージャスミン』のときのような意外性はなく
彼女ならこのくらい軽いよねと思えてしまうところがちょっと気の毒。

あえて意外というなら、ベッドシーンでのブランシェットの背中が主演男優賞だったこと(笑)
おかげでルーニーの初々しさは際立ち、私としても『アデル、ブルーは熱い色』を観たときの後ろめたさや居心地の悪さを感じずにすみましたが。

勿論同性愛など認められない時代の出来事でもあり、2人の苦悩はあったはずだけど
映画は事前にサントラを聴いてイメージしていたよりずっとドライ。
それは映画の前向きな描き方にも起因してる気がします。

ちょこちょこネタバレになるので、以下「続きを読む」方はご注意ください。

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キャロルは夫と離婚調停中で、子供の親権を巡り争っています。
夫は妻を愛していて、キャロルとやり直す覚悟がある。
キャロルは子供と暮らすため、テレーズとの恋を諦めることも出来るわけですが
彼女はあくまで自分の性に正直であろうとするのです。

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そのキャロルの強さと、キャロルとの愛を選ぶテレーズの成長
互いを求める気持ちが困難よりも勝ることが映画を力強く
絶望的なはずの愛をピュアなものに昇華させているんですよね。


ラストシーンのブランシェットの表情に吹き出しをつけるとしたらどんな台詞が似合うでしょう。

「ありがとう」
「きっと、うまくいく」 (何かのパクリだw)

「でも・・
覚悟はいいのね」


2人の前には茨の道が続いているかもしれない。
でも、必ずや希望があると思えて胸が熱くなる。

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50年代のニューヨークを再現した映像、2人の目線で揺れる恋心を追うカメラワーク
衣装や音楽、テレーズのフォトショットに至るまで美しい。
レズビアン映画のパイオニアたる映画でしたね。