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映画ノート

【映画】フィフス・ウェイヴ

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フィフス・ウェイヴ(2015)
アメリ
原題:The 5th Wave
監督:J・ブレイクソン
脚本:スザンナ・グラント /  アキヴァ・ゴールズマン  / ジェフ・ピンクナー
出演:クロエ・グレース・モレッツ/  ニック・ロビンソン/ ロン・リヴィングストン/ マギー・シフ/リーヴ・シュレイバー/ アレックス・ロー/  マリア・ベロ /  マイカ・モンロー

 【あらすじ
アザーズ」と呼ばれる地球外知的生命体による4度の攻撃で、人類の99%が死滅した地球。生き残った女子高生キャシーは、離れ離れになった弟を救うため、さらわれた子どもたちが集められている基地へ向かう。アザーズはすでに人間に姿を変えて社会に紛れ込んでおり、誰が敵で誰が味方かもわからない。そんな状況のなか、旅の途中で出会ったある男性に助けられながら、キャシーは基地を目指すが……。


【感想
クロエ・グレース・モレッツ主演の地球乗っ取りものSFです。

地球上空に巨大な宇宙船で飛来した「アザーズ」は段階を踏んで地球人を攻撃してくる
まずは世界中の電源をシャットアウト、これがファースト・ウェイヴで次に地震津波を起こさせたり
じわじわと人類を混乱に落としていくのですよ。
最終段階がタイトルのフィフス・ウェイヴ(第5波)で、いよいよ人類の乗っ取りが始まると
人々は誰が敵か味方かわからない中、命を守るため殺しあうことに。
さぁ人類はどうなる というお話。

これこちらではあまり評判よくなくて劇場をスルーしてしまったんですが
賛否が分かれるのもわからなくはない。

宇宙人による攻撃の殆どがクロエちゃん演じるキャシーの視点で描かれるためパニック映画としての規模はこじんまりだし、その後のサバイバルも比較的淡々としていて切羽詰まった終末観が感じられません。

でも構成からして、前半に描かれるその部分はあくまで序章
本作はむしろ地球人の奮闘を描く後半部分が本題でしょう。
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クロエちゃん演じるキャシーは「必ず守る」と約束した幼い弟とはぐれてしまい、子供たちが集団で疎開した軍の基地に一人歩いて行くことにするも、途中何者かに襲撃され目覚めれば民家の一室。
介抱してくれた青年に懐疑の目を向けながらも、次第に心を奪われていくキャシー。
これはクロエちゃんの青春ラブストーリーであり、キャシーが大人の階段を上るお話でもあるんですね。
恋に落ちていくクロエちゃんにドキドキ。
というか、エヴァン役のアレックス・ロー君の思いがけないマッチョぶりにびっくり。

軍の基地で繰り広げられるアクション活劇にはイスラム国などで行われている
子供たちへの「洗脳」の怖さを考えさせられたりもしたけれど
映画はやがてそれぞれが「人として誇れるもの」を見いだしていくのが心地よい。

正直アザーズが人間をやっつけるのにこんなに手間暇かけるかなってところや
そんな多量の爆弾をどこから調達したの?とか
脱出は飛行機なのか? ってか飛行機でどこまで行けるの?とか
突っ込みを入れればキリがないけれどそこは大目に。

クロエちゃんが元ヒットガールの片鱗を見せてくれたのはうれしかったし
観てるときは気づかなかったマリア・ベロのオバハンぶりも最高で
「口紅」シーンには笑ったw

大人や強い立場にある人が言うことが正しいとは限らないとか
子供の成長する力を描いているところはヤングアダルト小説らしいところ。
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キャシーには守るべき弟がいて、弟のためにテディベアのぬいぐるみを届けようと頑張る。
世界の終わりを描くSFが多くなったけれど、愛する者に安心を与え、
より良い世界を見せたいという思いがあれば、人はまだ大丈夫かもしれない と希望を感じられたのがよかった。

監督のJ・ブレイクソンは『アリス・クリードの失踪』の監督だったのね。
序盤の「まとめ」技は流石。
ただ、すでに宇宙人だとわかった時点でいいので、少しでもその正体を拝ませて欲しかった。
鏡に映る姿だとか、光に透けて見えるとか。
あの方やあの人が演技で「それらしい」雰囲気を出してたのは上手いね。
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