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映画ノート

【映画】マイ・ブラザー 哀しみの銃弾

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マイ・ブラザー 哀しみの銃弾(2013)
フランス/アメリ
原題:Blood Ties
監督:ギョーム・カネ
脚本:ギョーム・カネジェームズ・グレイ
出演:クライヴ・オーウェン / ビリー・クラダップ/ マリオン・コティヤール/ ミラ・クニス/ ゾーイ・サルダナ  
 ジェームズ・カーン/  マティアス・スーナールツ / ノア・エメリッヒ /  リリ・テイラー /  ドメニク・ランバルドッツィ  

 【あらすじ
殺人事件で服役し、7年ぶりに出所したクリスを、弟のフランクが迎えに来る。警察官としてまじめに生きるフランクは兄の更生を支えようと支援するが、クリスは職場に前科がばれクビになったことで自暴自棄になり、再び犯罪に手を染めていく……。


【感想
『君が生きた証』のビリー・クラダップを「知らないおっさん」と言い放ちひんしゅくを買いまして
出演作観てるのも多いのに意識したことなかったことを反省。
みーすけさんのツイートに触発されて「クラちゃんを探せ」企画に突入します。

まずは、フランス人俳優ギョーム・カネの監督二作目にして、初ハリウッド作品。
カネ君自身が出演したフランス映画の脚本を自ら書き替え、舞台を70年代のブルックリンとしたクライム・サスペンス
マイ・ブラザー 哀しみの銃弾』です。

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クラちゃんくたびれてます

クラちゃん演じるフランクはまじめで優秀な警察官だけど、兄クリス(クライヴ・オーウェンが犯罪者ということもあってか職場でも何か遠慮がち。
7年ぶりに出所してきた兄の更生を助ける一方で、彼は強制捜査に入った家でかつての恋人ヴァネッサ(ゾーイ・サルダナ)と再会し、一児の母となった彼女との恋を再燃させる。。
おそらくは二人が愛し合った頃は、黒人差別ももっと厳しい時代だったんでしょう。
フランクは自分が逮捕した男の妻子を略奪した形になるため男の恨みを買うこととなるんですが・・

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クラちゃんのもみあげがダメなのか思いのほか評判はよくないらしいのだけど
どうしてどうして、いいじゃないですか、これ。

まず監督がこの時代のニューヨーク映画が大好きというだけあって、70年代のブルックリン雰囲気が最高にいいね。
兄弟の英語はほぼネイティブだけど父親役のジェームズ・カーンの喋りから彼らが移民の出であるのは明白。
生き延びるため犯罪に手を染めていった移民たちの住む町で、自然にチンピラとなった兄とその仲間との絆などはベンアフの『ザ・タウン』にも共通するところ。
全うな道を歩もうと警察官になったフランクの思いはまたしてもクリスにより遮られる・・。

カネ君は登場人物像や背景を突き詰めることに執着するタイプのようで
フランクはどうしようもない犯罪者だけど、そこに至るにはそれなりの理由があったり
フランクとクリスの関係も確執とか兄弟愛という言葉で形容しきれない、幼い頃から積み重ねてきた年月や思いがあることをしっかり描いていて、さすがとしか言いようがない。

だからこそ正義とのはざまで悩みながらもフランクが繰り出す「3度のノック」はものすごく重くて
怒涛のラストシーンに繋がる15分にカタルシスを感じてしまうんですよね。
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ゾーイ・サルダナミラ・クニス、フランクの元妻にカネ君のパートナーであるマリオン・コティヤールまでビッチに投入したりと、女性陣もたいがい豪華なのだけど、なんたってこれは男の映画。
あまり観てなくて言うのも変だけど、おそらくは北野作品に通じる男の世界の描き方が素晴らしいんだわ。

フランクに恨みを持つゾーイの夫役にマティアス・スーナールツでっせ。
最近はプーチン色が濃くなったマティアスだけど、やっぱりこの男やくざをやらせたらピカイチだから。
登場時間短くてもきっちりお仕事しますわ。さすがだ。

クラちゃんもよかったけどここは兄クリスを演じるクライヴ・オーウェンに一本。
どんだけ悪ガキやねんと言いたいチンピラ男なんだけど
最後の 久々に飼い主に再会したハスキー犬みたいな瞳を見たら仕方ないなと思ってしまう。

70年代を思わせる曲たちも立派にこの映画の主役でした。

こちら監督のギョーム・カネ君とお相手のマリオン
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