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映画ノート

【映画】奇跡がくれた数式

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奇跡がくれた数式(2015
イギリス
原題:The Man Who Knew Infinity
監督/脚本:マシュー・ブラウン
出演:デヴ・パテル/ジェレミー・アイアンズ/デビカ・ビセ/トビー・ジョーンズ/スティーブン・フライ
日本公開:2016/10/22

【ストーリー
1914年、英国。ケンブリッジ大学の数学者ハーディ教授は、インドから届いた一通の手紙に目を止める。そこには驚くべき“発見”が記されていた。ハーディは差出人の事務員ラマヌジャンを大学に招くが、学歴もなく身分も低いことから教授たちは拒絶する・・。

【感想
著名なイギリス人数学者と独学で数学を学ぶ名もない事務員のインド人。
人種も境遇も違う二人が出会い、ともに世界を変える奇蹟を成し遂げるという実話に基づいた話です。

数学者ハーディにジェレミー・アイアンズ、事務員ラヌマジャンにデヴ・パテル
ラマヌジャは画期的な数式をノートにしたため、それを証明したいと思っている。

ケンブリッジ大学のハーディ教授のことを知ったラマヌジャンは手紙をしたため、渡英することになるんですが、数式など簡単に証明できるものではないらしく、彼は差別に苦しみながら大学で長い時を過ごすことを余儀なくされるんですね。
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当時インドにはカースト制があって、ラマヌジャンの階級では海外渡航すら禁じられていたらしい。
結婚間もなく、世間に冷遇されることを覚悟で夫を送り出す妻の献身がまず偉い。
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映画の売りとしては境遇も身分も違う二人の数学者が世紀の数式を証明したということで、ハーディ教授の心の広さと二人の友情を熱く描くものかと思ったけど少し違った。というのもジェレミー・アイアンズ演じる教授の興味はラマヌジャンの数式であって、ラマヌジャン本人にはなかったから。ラマヌジャンがどんな思いでイギリスで過ごしているか知ろうともしない教授には少々腹が立ってしまった。ハーディは学者バカであって悪気はなかったんでしょうけどね。医者は病名を見て患者を診ないというのに近いかな。

ハーディのそんな欠点もちゃんと描いてるのは、正直な映画かもしれません。
ジェレミー・アイアンズが演じると憎めないしね。
人道的な部分で大きな役割を担ったのはむしろトビー・ジョーンズ演じるお友達の教授。

戦争が勃発しカレッジ上空にも敵機が襲来します。
そんな中でも世紀の発明が生まれるんだから凄い。
学問を究めるものは細かいこと気にしてちゃだめってことね(笑)

個人的には二人の成し遂げた共同作業の部分よりも、「奇跡がくれた数式」の、本当に「奇跡」な部分に興味を惹かれましたわ。天才の偉業をよくよく調べると、こういうのもほかにあるかもなぁ。

デヴ・パテルは全身全霊で使命を全うするラマヌジャンを熱演してました。
犠牲にしたものも大きかったけれど、今も彼の数式が宇宙工学など様々な場面で使われていることや、当時植民地であったインドの知性を知らしめたことなど功績が大きいのが救い。
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撮影は実際にケンブリッジ大学のトリニティ・カレッジで行われたらしい。
古くはアイザック・ニュートンやホーキング、最近ではイアン・マッケランレイチェル・ワイズエディ・レッドメインなどの多くの天才、秀才が学んだ美しいキャンバスを見るのも一興ですね。

ということで、今日の「英国男優」はここのところ教授役がやけに多いジェレミー・アイアンズさまでした。
2016年は6本の映画にご出演の68歳。無理せず頑張ってくださいな。


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