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映画ノート

【映画】A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー


 

A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー(2017)
A Ghost Story
 
【あらすじ】
突然の交通事故で命を落とした音楽家のCは、
病院の死体安置室で、シーツを被ったまま起き上がる。
ゴーストとなったCは一人残した妻Mのそばで
来る日も来る日もたたずみ続ける・・

ケイシー・アフレックオバQみたいにシーツを被ったゴーストを演じて話題のインディーズ作品。
『セインツ -約束の果てー』のデヴィッド・ロウリーが監督し、
『セインツ~』で共演したケイシー&ルーニー・マーラが再びカップルを演じます。
 
『セインツ~』の感想でも、「ゆったりと詩情豊かなストーリーテリング
テレンス・マリック作品を連想させる」と書きましたが、本作ではさらに台詞が少なくスロー
劇場で観たときには途中で寝てしまったんですよね(汗)
 
見直してみると、突然この世を去らなければならなかった男の哀愁が漂い
少しユーモラスでありつつ切ないラブストーリーとして成り立ってはいる。
ただ、説明がないため解釈に戸惑う部分も出てくるんですね。
Mが家を去る前に壁の中にペンキで塗りこんだ「メモ書き」
CはMの想いを知ろうと、必死に取り出そうとするのだけど
シーツの下の手では難しいらしく、来る日も来る日もカリカカリカ
ポルターガイスト的ないたずらはできるのに・・という矛盾は置いておきましょうか)
 
最後にはある結末を迎えるわけですが
メモには何が書いてあったのかが明かされないままなので
Cに起きることの意味を理解しずらいんですよねぇ。
監督のインタビュー動画あったので観てみたところ
「あのメモに何が書かれていたかはわからない。
ポイントはそこじゃない」っていうんですね。
 
いやいやいやいや
観るものに想像させたり、判断をゆだねることを全否定はしないけれども
少なくとも作り手側は確固とした答えを準備すべきじゃないの?
 
あと、監督の別のインタビューの中で、
「LAに越すとき、テキサスの家を離れるのがとても辛かった」と自身の経験が
この映画を撮るきっかけになったと話していて、なるほどなと思いました。
 
つまり・・
だから映画もいつしか家もしくは土地への愛着の話になったんだなと。
勿論、幸せな時間を過ごした思い出があるからこその、土地や家への執着なわけだけど、
妻への想いが宙ぶらりんになった気がして、ちょっと違和感。
どっちにしても、いつかは全てを受け入れ
前に進まなければいけない というところに落ち着くんですけどね。
時間の概念を描く映画でもありました。
 
死後の世界の悠久を描くダイナミックなストーリーテリングには
リュック・ベッソン『LUCY/ルーシー』を思い出したな。
 
 

映画データ
製作年:2017年
製作国:アメリ
監督/脚本:デヴィッド・ロウリー
出演:ケイシー・アフレック
   ルーニー・マーラ