しまんちゅシネマ

映画ノート

『君の名前で僕を呼んで』(2017)瑞々しくホロ苦い、ひと夏の衝撃


 
君の名前で僕を呼んで
Call Me by Your Name
 
若きティモシー・シャラメアカデミー賞主演男優賞にノミネートされた話題の一本。
イタリアの別荘にやってきた大学教授の息子エリオと、父親が招待した教え子のアメリカ人大学院生オリヴァーとの出会いと6週間の交流を描く青春映画です。
 
原作をジェームズ・アイヴォリーが脚色し、ルカ・グァダニーノが監督。
アイヴォリー監督も大好きなので、メガホンをとって欲しかったとも思うけど
共同監督となると、主張する部分が異なって現場が混乱しそうだから、一人に絞って正解だったかも。
 
なにしろ透明感のある世界観が素敵でした。
ティモシー・シャラメは当時20歳ながら、華奢な肢体もあいまって、17歳の少年を違和感なく演じてます。
それどころか、映画が進むにつれ彼の魅力に取りつかれていく。
アーミーにでなく、ティモシー君に魅力を感じるなんて、自分でも驚くのだけど
オリヴァーと出会い、ためらいながら惹かれていくエリオの視線や一挙手一投足に目が離せなくなるんですね。
オリヴァーが滞在する部屋が、エリオの部屋とバスルームを挟んだお隣(こういう作りをJack & Jillと言います)という設定もいいよね。
 
開いてるドアの向こうをオリヴァーが歩く、用を足す音が聴こえる、ドアを閉められる・・
オリヴァーに惹かれ、彼の態度に一喜一憂する過程をエリオに代わって体感するうち、いつしかエリオに同調してしまう自分がいましたもん。
勿論ティモシー君の繊細な演技も素晴らしく、台詞のない長回しで見せるラストシーンには、揺れ動く心情のすべてが詰め込まれていてまさにオスカー級!
ピアノやギターも事前に練習してこなしたというから大したものです。
 
お相手となるアーミー・ハマーはダンスシーンに象徴されるようにあっけらかんとしたアメリカン。24歳(24歳には見えないけど~)なりの大人の選択を迫られるオリヴァーを時にツンデレに時にずるく、かと思えば包容力たっぷりに演じていて、ティモシー君と2人眼福でございました。
 
ところで、最初にこの邦題を目にしたときにはせっかくのお耽美映画なのに、
なんだかゴロが悪く雰囲気が壊れると不満に感じたんですよね。
実際映画を観ると「call me by your name」という台詞が絶対的な存在価値を持っていたので
そのまんまに訳した邦題もいたし方なしかな。(ゴロの悪さは残念だけれどね)
 
シャツは『ブロークバック・マウンテン』へのオマージュかしら。
美しいイタリアの風景、80年代の設定にふさわしい音楽も素敵
今年暫定一番に(早すぎw)好きな映画でした。

続編もありとのこと
ティモシー君の成長とともにエリオとオリヴァーの恋の行方を見守りたいと思います。

映画データ
製作年:2017年
製作国:イタリア/フランス/ブラジル/アメリ
監督:ルカ・グァダニーノ
脚本:ルカ・グァダニーノジェームズ・アイヴォリー
出演:ティモシー・シャラメ
     アーミー・ハマー
     マイケル・スタールバーグ
     アミラ・カサール