しまんちゅシネマ

映画ノート

グレイスランド

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1998年(米)
監督:デヴィッド・ウィンクラー 
出演:ジョナサン・シェック / ハーヴェイ・カイテル / ブリジット・フォンダ / グレッチェン・モル
■感想
今年の映画記事始めとなりました。
今回ずっと観たいと思いながらそのままになってたものなんかも、いくつか持参してるので
自分自身とっても楽しみなんですね。で、その中から第一本目に選んだのはこれ。

 

タイトルのグレイスランドというのは、テネシー州メンフィスにあるエルヴィス・プレスリー
暮らした家があるところ。今では博物館として一部開放され、
エルビスの誕生日には毎年大勢のファンが訪れ、ファンにとっての聖地とも言える場所なんですね。

 

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オンボロ車を運転する医学生バイロンジョナサン・シェック)は、メンフィスへと向かう道すがら
ヒッチハイクの中年男(ハーヴェイ・カイテル)を車に乗せることに。
この男、自分をエルヴィスと名乗り、自分の命日にグレイスランドに行くと言う、なにやら怪しいやつ。
でもね、エルヴィスになりきった彼に、人びとは癒されていくんですね。

 

バイロンも、実は一年前に妻を事故で亡くし、心を閉ざした青年。
事故でついた車の傷をそのままにしてるのは、きっと事故を忘れてはいけないと思うからでしょう。
彼は事故に責任を感じ、自分を責め続けていたんですね。
そのバイロンが自称エルヴィスと出会うことで、自分の思いに向き合うことになります。

 

絶対に失いたくないものを亡くしたとき、
ある人は、あまりに悲しすぎて、自分をその悲しみの中に閉じ込め、
それ以外、何かを考えることさえ許されないと思ってしまう。
いつか謝ろうと思っていたのにかなわなかった、そんな思いを抱えた人は
小さな罪の意識を持ち続けることに苦しみ、愛する者の死から自分を遠ざけようとするかもしれません。
だけどもどちらのケースも、とてもさびしい。

 

この映画でハーヴェイさん演じるエルヴィスは、愛するものの「死」に向き合う人に、
赦しと癒しを与える役割を担っていたのだと思いました。

 

聖地グレイスランドに集う人は、きっとその地を訪れ、思い出を語り合い、
彼が生きた時間をいつくしむことでエルヴィスの死に向き合っているのでしょう。
そしてそのことで、自分自身も癒されるのだと思います。

 

死に向き合う心を「グレイスランド」に喩え、同じ痛みを抱える青年とエルヴィスとの交流をロードムービーに仕上げた本作、切なさと暖かさとできゅんとなる作品でした。
ハーヴェイさんの舞台パフォーマンスははちょっと見ものですよ(笑)

 

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共演にマリリン・モンローのそっくりさんを演じるブリジット・フォンダ。歌声もなかなか。
バイロンの妻にグレッチェン・モル・・・彼女もマリリンに似てるのよね。

 

エルヴィスのファンもきっと癒されると思います。

 

★★★★☆