しまんちゅシネマ

映画ノート

列車に乗った男


2002年(フランス/ドイツ/イギリス/スイス)監督:パトリス・ルコント出演:ジャン・ロシュフォールジョニー・アリディ/ジャン=フランソワ・ステヴナン/チャーリー・ネルソン   パスカルパルマンティエ/イザベル・プティ=ジャック/エディット・スコブ【ストーリー】シーズン・オフのリゾート地。くたびれた革ジャン姿の中年男ミランが列車から降り立つ。頭痛がひどいのか、顔をしかめドラッグストアへと急ぐ。店でアスピリンを買ったミランは、そこで狭心症の薬を買おうとしていた初老の男マネスキエと知り合う。そして、ひょんなことからマネスキエの自宅に泊めてもらうことになる。マネスキエは定年を迎え、街から出ることもなく、少年に詩の個人教授するだけの平々凡々な日々を過ごしていた。一方のミランは流浪のアウトロー。そんな対称的な2人の間に、やがて奇妙な友情が芽生えていくのだが…。
■感想
今日もらぐなさんお薦めの一本。いやー、これ、ほんと好きでした。
今年のマイトップ10入り決定! あ、鬼が笑いますか?w

物語は、ちょっと強面の男が列車に乗っているシーンから始まります。
あ、彼が列車に乗った男ね。なーんて思いながら観てました。

男はどうも頭が痛くてしかたがない。降り立ったちょっと寂しげな町。頭痛薬を求めて入った薬屋さんで、
いかにも実直そうな初老の男と出会い、彼の自宅へ同行することに。薬を飲む水が欲しかったのです。

列車に乗って来た強面の男も、そこそこいい年いったおじさんですが、革ジャンを着こなし、無口でいかにもアウトロー風。
初老の男は、教授を定年退職し、今は親の残したちょっと古びた邸宅で一人暮らしを楽しむ、まじめな老紳士。

この正反対の二人、ひょんなことから、ある決戦までの3日間をともに過ごすことになります。

気の良い老紳士の会話につられ、ポツポツと、噛み合ない会話をするうちに、互いの人生をうらやむようになる二人。

老紳士は、男の留守中こっそり部屋に入り、男の革ジャンを羽織って鏡の前で西部劇のまねごとをする。(これが笑える)
おそらくは言いたいことも言わず、ひたすら生真面目に生きてきた人生…。

一方アウトローの男は、流浪の旅を続けて来た、(ちょっとネタバレだけど)犯罪者。
彼は彼で、安住の地をもち、ちょっとハイソな教授の人生が羨ましい。

お互い、【生まれ変わったらこんな人生でありたい】と思うのです。


この3日間は、二人に微妙な変化をもたらします。
教授は思ったことを思い切って口にだしたり、アウトローな男がヘタクソなピアノを奏でて満足そうだったり。
部屋履きを履きたいと申し出たのも、きっと憧れから。




二人の会話に味わいとユーモアがあって、淡々としていながら観ていて実に楽しいのです。


クライマックスは何気に衝撃的です。えーーー???そうなの?でした。
ここにきて初めてキャッチコピーの意味を理解することになるのですが…。そのコピーもあえて伏せますw

ラストがまた味わい深いのですよ。
これ、正直解釈が難しかったりします。私はファンタジー(こういう表現でいいのかも疑問ですが)と捉えましたが
それでいいのかな? 


ま、これ以上は語らないことにしましょう。

それぞれの人生に想いを馳せ、切なくもあり爽やかでもある。
最後、列車に揺られているのは教授でした。。。よ。


余韻の残る素敵な作品でした。
何度も観ると、きっともっと色んな発見がありそう。味わい深いですね~。



★★★★*