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映画ノート

サルバドル/遥かなる日々


1986年(米)監督・脚本:オリヴァー・ストーン出演:ジェームズ・ウッズジェームズ・ベルーシジョン・サヴェージ/エルピディア・カリーロ/トニー・プラナマイケル・マーフィ/シンディ・ギブ/ホルヘ・リューク/コルビー・チェスター/ヴァレリー・ワイルドマン【ストーリー】フォト・ジャーナリストのボイルは、友人と2人で金を稼ぐ為、気軽な気持ちでエル・サルバドルへの旅に出た。ところが現地に入った彼らの目に映ったのは、“死の分隊”が統治する凄惨たる風景だった……。
■感想

80年代 プチ映画祭り 第12弾! やっぱオリバー・ストーンでしょ!

「サルバドル/遥かなる日々」は、内戦下にある南米エルサルバドルで、ジャーナリストが見た「真実」を描いた、
社会派大先生オリバー・ストーンの真骨頂とも言える作品です。

主演のフォト・ジャーナリスト、ボイルを演じるのは曲者俳優ジェームズ・ウッズ
かつては第一線で活躍したボイルも、今は妻にも逃げられアパートも追い出される落ちぶれよう。
友人をだまくらかして、気軽に金を稼ぐ気持ちで、懐かしのエル・サルバドルに乗り込んだものの、何やら様子が違う。

80年代のエル・サルバドルは、軍隊が「死の分隊」と左翼のゲリラに分裂し、身分証を持たない人間は容赦なく殺されると言う不穏な情勢。落ちぶれたとは言え、ジャーナリストの端くれでありながら、そんな状況も知らずにサルバドルに足を踏み入れてしまうなんて、あり得んだろう~、と思う間もなく、国の情勢はどんどんきな臭くなっていくんですね。

持ち前の(?)お気軽さと図々しさとで、スクープ狙いを企てていたボイルでしたが、自体はそれほど甘いものではない‥。
そんな折、サルバドルで真実を追おうとするジャーナリスト、ジョン・キャサディ(ジョン・サヴェージ)との出会いが、ボイルの中で忘れかけていたジャーナリスト魂に火をつけることに。

手にするカメラを、まるで通行手形のようにかざしながら、激しい内戦の中に身を投じる二人の姿は迫力です。
世界で起きていることを知ることが出来るのも、こういう真摯なジャーナリストの命がけの報道があってこそ。
頭が下がる思いですが、本当に死と背中合わせの危険な仕事だとあらためて感じます。

中南米の情勢にも疎い私は(どこも詳しいところはありませんが^^;)、付け焼き刃的にこの時代のエルサルバドル情勢をお勉強して臨んだものの、しっかりと理解出来るところまで至りませんでした(泣)

それでも緊迫感溢れる演出と、内戦の悲劇を痛感する映像には、言葉を失います。
「キリング・フィールド」でもそうでしたが、いずれの内戦にも、自国への影響を危惧するアメリカの関与があるわけで。。
内戦下のサルバドルを描くとともに、アメリカの南米政策にも疑問を投げかける問題作でもあるのですよね。

ボイルを演じたジェームズ・ウッズは、チャランポランぶりも嵌っていましたが、彼の中で報道魂がはじけていく様子を上手く演じていました。
ラストに漂う無力感も印象に残る作品でした。音楽も効果的。

オリバー・ストーンは今年はブッシュ大統領を描いた「W.」の公開が予定されてますね。
社会派作品で、久々の復活となるのでしょうか。


★★★★☆