しまんちゅシネマ

映画ノート

W.


2008年(米)監督:オリバー・ストーン出演:ジョシュ・ブローリンジェームズ・クロムウェル/リチャード・ドレイフィス/ノア・ワイリー/スコット・グレン  ヨアン・グリフィス/ロブ・コードリー/タンディ・ニュートン
■感想

祝オスカー・ノミネート 助演男優賞候補 ジョシュ・ブローリン

今日はショーン・ペン主演の『ミルク』で、助演男優賞にノミネートされたジョシュ・ブローリン
制作時現役のジョージ・W・ブッシュを演じて話題になった『W.』です。

監督は『JFK』『ニクソン』で過去2度大統領映画を撮ってきた社会派オリバー・ストーン監督。

昨年秋、大統領選開始前に公開されたものの、ボックスオフィスの成績も最高で4位と振るいませんでした。

オリバー・ストーン監督自身、ブッシュのことは嫌いとのこと。
どんなブッシュが描かれているのやらと興味を持って観ました。

タイトルとなっているWは43代大統領ジョージ・W・ブッシュのミドルネーム。
パパ・ブッシュはじめ、近しい人間が、彼のことをWと呼んでいます。
ま、パパはテキサス訛りなのか「ダブリャ」と呼んでましたけど(笑)
ちなみにパパ・ブッシュジョージ・H・W・ブッシュです。

映画はブッシュ元大統領のやんちゃな学生時代から、大統領になるまでの道のりを描くのと平行して
911を受け、イラク侵攻をどうするかを話し合う首脳陣の会議の様子が描かれます。

オリバー・ストーン監督は、多くのジャーナリストに資料の提供を受け、真実の姿に迫ろうとしたとのこと。
バイオグラフィーを追うことで、名門の家族に生まれ育ち、ミスターパーフェクトな父親から信頼されずに育って来たブッシュの重圧や屈折した思いが明らかになります。

彼の人間性がどう形成されたか、父の大統領選敗退が、ブッシュのイラク政策にどう関わって来たかを見せる作りですね~。

そもそもパパもママもどら息子のブッシュが大統領になることなど考えてもいなかったようですが、
ブッシュは人の心を動かす魅力と力があったようです。

大統領になることを、神に望まれたとするブッシュ。
祖国の平和と繁栄を望んで政策を打ち立てた結果が、歴代最低の大統領という評価。

大量破壊兵器などどこにも見つからない。その事実を認めざるを得ない段階の彼の苦悩。

大統領の父を持ち、その評価が家族にも及ぶことを知っていた彼は、家族が苦しむ姿を見るのが一番辛いと
分っていただけに、ローラ夫人や、子供たちに対する自責の念はいかばかりかと思うと、何気に切ない。

やや、同情的な描き方ではあったかもしれません。


ブッシュを演じたジョシュ・ブローリンは、やんちゃな学生時代からを演じているのですが、
オトコっぽすぎる感じが、ブッシュらしくないかも~と思いながら観てました。
ところが後半、時々ブッシュにそっくりに見えてきます。時代の変遷とともに、歩き方も喋り方も変わっている。
研究し尽くした演技だったようです。
ちなみにブローリンの前にブッシュ役をオファーされたのはクリスチャン・ベイルだったようです。
うん、ベイルの方がソフトに演じたかもですね。


この映画ブッシュさんだけでなく、他の登場人物も実物によく似てます。
副大統領にリチャード・ドレイファスパパ・ブッシュジェームズ・クロムウェル、ママ、バーバラ夫人にエレン・バースティンなど。
ライス長官を演じるタンデイ・ニュートンなども、雰囲気出てて逆に笑えるんですよ。
最初はパロディ映画を見せられているようで違和感がありました。



ブッシュの人となりに迫った本作は、単にブッシュ本人を批判するだけでなく、一時は共にイラク侵攻を喜んだ
国民を含め、間違った選択はどのようになされるのか、真の決断を下すことの難しさも描いているようでもあり
思ったよりも面白く観ることできました。



★★★*☆



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