しまんちゅシネマ

映画ノート

恋人たちの食卓


1994年(台湾)監督・脚本:アン・リー出演:ロン・ション/ヤン・クイメイ/ワン・ユーウェン/シルヴィア・チャン/ウィンストン・チャオ/ン・シンリン【ストーリー】台北。一流ホテルの名シェフだったチュ氏(郎雄)は、男手一つで3人の娘を育ててきた。長女のチアジェン(楊貴媚)は高校の教師、次女のチアチエン(呉倩蓮)は、航空会社に勤めるキャリア・ガール、三女のチアニン(王渝文)は、アルバイトに忙しい大学生。日曜日には家族全員が集まり、豪華な特製料理を囲むのが一家の習慣だったが、娘たちはこの晩餐が重荷で、ある日曜日、味にうるさい次女は父の味覚が衰えたと非難する。
■感想
バレンタインに観るラブコメ25の21位
アン・リーの監督作ということで、以前から気になっていた作品です。

三人姉妹と台北に暮らす元シェフのチュ氏。
冒頭からその見事な料理の腕前に圧倒されます。

映画は3姉妹と老いた父の暮らしを通し、それぞれの恋愛模様や家族の関係を描き出すというもの。

親の老いを感じるとき、3姉妹の誰が家を継ぎ、父の面倒をみるかと悩むのは日本も台湾も同じですね。
自分の結婚願望を封じ込めてしまっていた長女、海外赴任の話しを前に悩む次女など、
それぞれの娘たちの恋愛や家への思いも丁寧に描かれていますが、特に良かったのは父の存在感。

味覚の衰えに老いを自覚し、焦燥感を感じる日々。
娘たちの洗濯も一気に引き受け、寡黙に老いを見せまいと振る舞う様子に哀愁が漂うんだなぁ。
親子ものって、へんにドロドロしたり、お涙頂戴だったりするものだけどこれはちょっと違うのね。
このお父さん、飄々としながら、ちゃんと自分の生き方を見つけてるところも粋なのです。

またこの映画の面白いところは食を性などと同じく生活の一部として描いていること。
一家の住む家の様子など、台湾の生活の様子が垣間みれるのも実に興味深かったですが
なによりも食卓に並ぶお料理が美しく豪勢なんですよ。
流石に中国は食の歴史を感じますね。



でも時代は変わり、最近の若い家庭ではこうはいかないんでしょうね。

前に夫の会社の台湾からの出張者を食事に招待した時、
家でこんな料理を作るなんて信じられないと言われ、逆に驚いたことがあります。
子供のいる家庭では、母親は塾の送り迎えに忙しく、家では料理は殆どしないのだとか。
朝食さえも外に買いに行くらしいのですよ。その方が安くて美味しいと言ってました。

何気にサプラーイズ!な結末も準備されていて、ラストシーンも穏やかでジーンとします。
と同時に中華食べたい!って思うはず(笑)



★★★★☆



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