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映画ノート

【映画】『へイル、シーザー!』ザ・50年代!

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ヘイル、シーザー!(2016)アメリ

原題:Hail, Caesar!
監督/脚本ジョエル・コーエンイーサン・コーエン
出演:
ジョシュ・ブローリン/ ジョージ・クルーニー/ オールデン・エアエンライク/ レイフ・ファインズ / ジョナ・ヒル / スカーレット・ヨハンソン/ フランシス・マクドーマンド/ ティルダ・スウィントン/ チャニング・テイタム
日本公開:2016/5/13 

 【あらすじ
1951年、ハリウッドの映画会社で映画「ヘイル、シーザー!」撮影中、世界的大スターのウィットロック(ジョージ・クルーニー)が誘拐される。スタジオのフィクサージョシュ・ブローリン)が解決に奔走するが・・


【感想
コーエン兄弟の新作、1951年のハリウッドのスタジオを舞台にしたコメディです。

タイトルの『ヘイル、シーザー!』はクルーニー扮する大スターウィットロックを主演とした劇中映画のタイトル。
この撮影中にウィットロックが誘拐され、さぁ大変という話ですね。

でもこれ、映画サイトにあるように「個性的なスターたちを巻き込んで難事件に挑む!」みたいなものを期待すると
裏切られるし、トレーラーのノリも違う。

映画はあくまで、ジョシュ・ブローリン演じるスタジオのフィクサーの一日を描くもの。
エディ・マニックスというのは40年代から50年代にかけて実際にハリウッドでフィクサーとして活躍した人物らしいんですが
50年代はハリウッド黄金時代の中でも後期にあたり、
テレビの普及に伴って映画業界自体が勢いをそがれる時代に入ってくるので
人々の夢を夢で有らしめるために、スターのゴシップをもみ消したり、フィクサーの仕事は大変だったんでしょう。
そんなマニックスの一日に注目した本作は、50年代のハリウッドにタイムスリップする作品になっています。


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スタジアムでは5つの映画が制作されていて、ウエスタンからミュージカル、歴史モノに至るまで色んなジャンルを一気観できるのはMGMスタジオの見学ツアーに連れて行ってもらった気分になるし、ノワールな雰囲気に合わせた音楽や撮影など、コーエン兄弟の力量も感じられます。
この時代に詳しいと、水兵姿で踊るチャニング・テイタムや、西部劇の オールデン・エアエンライク、人魚コスチュームのスカヨハなどが誰をモデルにしてるとかも分かるでしょうからそういう楽しみ方も出来る。
でも、私もそうだけど50年代に疎いと楽しみ方も半減になるかな。
あと、この映画が問題なのはそれぞれが単発的で、誘拐事件とうまく絡んでこないこと。
あくまでも誘拐事件は時代を象徴する一つのモチーフと考えるべきでしょうね。

もう一つ言うと、主役であるブローリンも、冒頭から教会で懺悔してたりして、
彼なりに悩みを抱え込んではいるんだけどそれが観客に悩みとして伝わらない。
彼の心情を観客が共感できないから面白くなっていかないのが残念なところでした。




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豪華キャストで目を引くのはタップダンスや歌まで披露して芸達者なところを見せてくれたチャニング・テイタム
50年代ハリウッド女優の喋りを見事に再現したスカーレット・ヨハンソン
そして一番美味しいところを持っていったのが、目を見張るカウボーイ・アクションを見せてくれたたオールデン・エアエンライク。アクションはいいけど実は大根という設定で、監督役の レイフ・ファインズとのやり取りは笑えた。


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マイケル・ガンボンがナレーターというのもミソで、50年代を感じる映画でしたね。
私は少々退屈して寝てしまったところもあったけどwテクニカルな面など、玄人ほど楽しめる作品かもです。



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