しまんちゅシネマ

映画ノート

フューネラル

 
1996年(米)
監督:アベルフェラーラ
出演:クリストファー・ウォーケンクリス・ペンヴィンセント・ギャロベニチオ・デル・トロイザベラ・ロッセリーニ 
   アナベラ・シオラ/アンバー・スミス
【ストーリー】
テンピオ一家の三男、ジョニーが殺された。冷徹な長男レイと、気が短い次男チェズは復讐を誓い、ファミリーと対立しているスポグリオに目を付ける……。
■感想
マフィアの世界に生きる男たちの絆と生き様を、壮絶に描くドラマです。
監督は『バッド・ルーテナント/刑事とドラッグとキリスト』 (1992)のアベルフェラーラ
 
1930年代、ニューヨークのイタリア系マフィア、テンピオ一家の三男、ジョニー(ヴィンセント・ギャロ)が殺され
3日に渡る葬式が執り行われようとしていた。
棺に納められたジョニーの亡骸に報復を誓う長男レイ(クリストファー・ウォーケン
一方、次男のチェズ(クリス・ペン)は悲しみを超えた怒りにいきり立ち、街へと飛び出す・・・・。
 
時間軸を前後させ、ジョニーは誰に、何故殺されたのかを辿りながら
血を血で洗うマフィアの世界に生きる男たちと、その家族の葛藤をあぶりだす作りです。
 
常に死と背中合わせで生きるわけだから、まともな精神ではいられないでしょうね。
長として冷徹に徹するのがウォーケン、
ルールを無視したアウトローぶりで共産主義に傾倒していく歳の離れた三男ギャロ
そして、どちらにもなれず、精神を衰弱させている次男のペン
 
兄弟それぞれのキャラがきっちりと描かれ、(といってもギャロは大半死体役ですがw)
ウォーケンの妻アナベラ・シオラ、ペンの妻イザベラ・ロッセリーニといった渋い女優陣が
その葛藤を浮き彫りにさせる役割を担ってるんですね。
精神を病んだチェズの危うさを、妻のイザベラの怯え方で見せているのもうまいところ。
新たな抗争を予感しつつも、何も出来ないアナベラの無力感が
どんよりとした不安感を持続させ、そうして迎える衝撃のラスト。
ペンがそこで一瞬見せる、子供のような泣き笑いの顔が悲しかった。
まぁ、ちょっと松村 邦洋に見えてしまったことは、ここだけの内緒ということでw
 
クリス・ペンはこの演技でヴェネチア助演賞を受賞
生きていたら兄ショーン・ペンに並ぶ逸材になり得ていたかもと思うと残念です。
 
デル・トロもこの頃が一番綺麗
 
観終わってやるせなさが残りますが、音楽のよさもあって、
この雰囲気は好きですね~。渋い音楽を載せたかったんだけど見つけられず
とりあえずトレーラーをば。