しまんちゅシネマ

映画ノート

パッション

この金曜日はグッド・フライデイ
キリストが十字架にかけられ死んだとされる日で、祭日です。
どうしてそんな日に「グッド」がつくかと不思議に思う人も多いと思うけど
もともとはgoodではなく、"God's Friday”だそうで聖金曜日という日本語表記の方が
意味を間違えずにすみそうですね。
今日はグッド・フライデイにちなんで、「キリストの受難」を描いた『パッション』を観ました。


blog_import_566b9e761bafe.jpeg

パッション
2004年(アメリカ・イタリア)
原題 The Passion of The Christ
監督:メル・ギブソン
出演:ジム・カヴィーゼルマヤ・モルゲンステルンモニカ・ベルッチロザリンダ・チェレンターノクラウディア・ジェリーニ

【ストーリー】
弟子のユダに裏切られ、大司祭が差し向けた兵に捕らえられたイエスジム・カヴィーゼル)。裁判で自らを救世主だとほのめかしたイエスは、神の冒涜者としてローマ提督ピラトに引き渡された。ピラトは、イエスの罪が不明確だと知りつつも、敵意をあらわにする司祭と群衆を前に、彼を十字架にかける決定を下す。(goo映画より)


タイトルのパッションというのも紛らわしいのですが、これは「情熱」ではなく
元はラテン語の業や痛みをさす言葉で
The Passion of The Christでキリストの受難という宗教用語になるんですね。

タイトルのとおり、本作はキリストの受難を描く作品で、
エスが捕らえられ、鞭打たれ十字架に架けられ死ぬまでの12時間が
延々と続く拷問シーンとともに描き出されます。
その表現のサディスティックさが
メル・ギブソンならではと思うところだけど
こんな風に残酷に痛々しいキリストの姿を描くことに
何の意味があるのだろうと考えながら観ることになりました。

この映画に登場するのは、イエスを慕いながらも裏切った弟子
エスをいたぶり十字架にかけるローマ兵、ローマ提督ピラト
エスの隣で十字架にかけられる罪人、聴衆などなど
それぞれに罪を背負った人というべきでしょうか。
ちなみにメル・ギブソンは「イエスの手に杭を打ち十字架に架けたのは自分で
それは私の罪だ」と言ってます。

預言者であるイエスは、弟子が自分を裏切ることも、その日が来ることも知っている。
全てを知りながら人間の罪を自らの身体の痛みとして受け止め、
罪人のために父なる神に祈りを捧げるんですね。
人を愛し、罪を赦しなさい、それこそがキリストの教えなんでしょうね。
この映画を観て、罪を告白する罪人が出たという話も聞くので
キリスト教徒の心を動かす力のある映画なのかもしれません。
ただ、私にはどういうスタンスで観るべきなのか、わかりかねるところで
宗教映画というよりも、スリラーを観てる感覚でした。

エスを演じたジム・カヴィーゼルの痛々しさと言ったらないですが
鞭打ちのシーンなどはデジタル処理だそうです。
それでもアクシデントで鞭に打たれたり、十字架の重みで脱臼したりしたそうで、
過酷な撮影だったでしょうね。
預言者として弟子たちを導く姿は神々しくもあり、カヴィーゼルは熱演でした。

ちなみに金曜日に死んだイエスは三日後に神として蘇り
それを祝うのがイースター(復活祭)です。