しまんちゅシネマ

映画ノート

『サイン』はこんな映画だったんだ




旧ブログ記事を少しずつ引っ越す作業をしてますが、まぁ箸にも棒にもかからぬ記事ばかり。
ブログ始めてからでもこれで、ましてやそれ以前のものは、忘れてるだけでなく、どんな映画かもきちんと理解できてないものが多いんですよね(汗)
そんなわけで、昔に観た映画を見直そうと思う今日この頃。
まずはM・ナイト・シャマランの『サイン』から観てみました。

サイン(2002)アメリ
原題:Signs
監督:M・ナイト・シャマラン
出演:メル・ギブソンホアキン・フェニックス、 ロリー・カルキン、 アビゲイル・ブレスリン、 M・ナイト・シャマラン、 チェリー・ジョーンズ サイン [Blu-ray]

AMCという映画チャンネルは、CMが入るため普段Tivoが勝手録画してても
全く観ずに消去してたんですが、丁度観たいと思ってた『サイン』は観てみたんですね。
そしたらなんと、製作秘話、撮影秘話初め、トリビアが放送中テロップで表示されるという企画もので、映画の理解に凄く役立ちました。

以下、内容に触れていきますので全く未見の方はご注意ください。



今回再見するまでは宇宙人侵略ものというイメージで
それにしてはアクションもなく、宇宙人も弱っちかったという印象でした。
でも『サイン』はそんな映画じゃなかったんですね(汗)

ひとことで言えば、神への信頼を失った主人公が、信仰心を取り戻す話。
しかも、もの凄くスピリチュアルだったことに今さらながら驚いたし
とっても丁寧にスピリチュアルな部分への伏線をはってるのにも感心します。

まず、事故で死んだ妻の残した言葉がミステリアスですよね。
自分の死が必然であるかのような言い方だったし
メルの弟ホアキンへの言葉「Swing away」もそれだけ聞いても意味が分りません。
まずあの状況で言葉を喋るということ自体もミラクルですが
奥さんは「神からの使い」という描き方だったんだろうなぁ。
そしてそれは娘のボーちゃんにも受け継がれているのが
一連の「水」に関することや、「生まれた時に微笑んだ」というエピソードからも窺えます。

メルの妻を事故で死なせてしまったレイをシャマラン自身が演じてましたが
彼は死ぬ前にメルを呼び出し、奥さんを殺したことを詫びる、、というか
メルが信仰心を失くすことになったことを詫びるんですねぇ。
苦渋の表情でそれを受け入れるメル。
赦し赦されることのないまま、人生を終えるのはとても辛いこと 
さり気ないけれど、これもとても重要なシーンだったと思うし、
キリスト教と、ヒンズー教の両方に通じているというシャマランの信仰心のあつさを感じさせます。

観る前にはタイトルのサインって何のことだっけ?程度の認識でしたけど
今は様々なサインが散りばめられていたことに気づきます。
そして、全てのことには意味があるのだというプロットにも感じ入りました。



宇宙人による侵略を扱っていながら、一家族の話になっているところに
スケールが小さいと笑う人もいるようだけど、テーマからすればこれでいいんですよね。
勿論宗教的なことだけでなく、スリラーとしても秀逸で、
音のないシーンの煽る緊張や、フラッシュライトのみでの撮影という闇の演出も効果的
エイリアンの指をぶっ切ったあと血がほとばしるイメージに重ねた無数の鳥の飛び立つシーン
ナイフに映る顔など、ヒッチコキアンというシャマランの演出も効いてました。




シャマランは命をかけてでも家族を守るタイプとして、メル・ギブソンを起用したとのこと。
メルはまさに適役。
娘のボーを演じてたのはアビゲイルちゃんだったのね~。小さいのに上手い。

ちなみに画面に表示されるトリビアには、どうでもいいこともいっぱいでw
最後の晩餐に好きなものを食べようというシーン
ホアキンが「チキンてりやき」と言うところで、すかさず
ホアキンベジタリアンで好物は豆腐」と出た。どうでもいいがな(笑)