しまんちゅシネマ

映画ノート

本当にあった怖い話『ポゼッション』




オークションサイトに出品された忌まわしい木箱を巡る奇怪な実話を基にした「とり憑かれもの」ホラー。
ポゼッション(2012)アメリ
原題:The possession
監督:オーレ・ボールネダル
出演:ジェフリー・ディーン・モーガンキーラ・セジウィック、 ナターシャ・カリス
日本公開:5/25
3か月前に妻(キーラ・セジウィック)と離婚したクライド(ジェフリー・ディーン・モーガン)は、週末に2人の娘と過ごすのを楽しみにしていた。しかしある日、ガレージセールで古めかしい木箱を買ってからというもの、次女のエミリー(ナターシャ・カリス)の様子が一変してしまう。

 2004年に「ロスアンジェルス・タイムズ」に掲載された記事にサム・ライミが興味を持ち、オーレ・ボールネダルを監督に据え製作されたホラーです。
その記事とは、オークションサイトEbayに出品された木箱について。Ebayの投稿ページには、最初のセラーがエステートセール(遺品を売るガレージセール)で木箱を手にした経緯とその後に起こった不思議な出来事が、さらには、その木箱を興味本位で落札した大学生に起きた恐怖体験が切々と綴られています。

 そもそも木箱は103歳で死んだポーランド人女性が、移民時に祖国から持ってきたもので、「絶対に開けてはいけない、自分が死んだら一緒に葬って欲しい」と家族にお願いしていたもの。けれどユダヤ教の慣わしからそれが叶わず、処理に困った孫娘がエステートセールに出したらしい。その木箱が何であるかについても記載されてますが、映画のネタバレになるので控えます。
興味のある方は、こちらのオフィシャルサイトにEbay投稿記事などがそのまま載ってるのでチェックしてください(英語)。




 というわけで、映画はその実話を基に、ガレージセールで木箱を手にしたエミリーに起きる奇怪な出来事と父親クライドの苦悩を描くもの。知らずに観たけど、2人の投稿者に起きたことを再現した形ですね。
 一家の次女エミリーを演じたナターシャ・カリスは、自分に起きる変化に悩み、徐々に邪悪なものに身体を乗っ取られていく様子を繊細かつ迫真の演技で見せていて上手い。
 サム・ライミ製作とあって『スペル』に似た描写もあります。
悪魔憑きとしてはそれほど目新しさがないということで評価は低め。個人的にはユダヤ系のエクソシストということで興味深かったし、両親の離婚によりバラバラになった家族が、恐怖を乗り越えながら心を一つにしていく話でもあり、面白く観ました。続編もありかな。