【映画】ジュディ 虹の彼方に
『31 days of oscar 2021』祭り、今日は昨年、レネー・ゼルウィガーが主演女優賞に輝いた『ジュディ 虹の彼方に』を。監督はルパート・グールド。
47歳で逝去したジュディ・ガーランドの知られざる苦悩と、ステージにかける情熱を描き出した伝記映画です。
『31 days of oscar 2021』 Day9
ジュディ 虹の彼方に(2019)
Judy
【あらすじと感想】
1968年。『オズの魔法使』で有名になり、ミュージカルスターとして名を馳せたジュディ・ガーランドだったが、30年後の今は心身ともにボロボロ。
4度の結婚にも失敗し、巡業ショーで生計を立てるも、子供たちに満足な暮らしも与えることができない。
やむなく彼らを元夫に預け、ロンドンに単身渡英してステージをこなすジュディだったが…。
恥ずかしながら、私ジュディ・ガーランドの主演作品は『オズの魔法使』のIMAX 3Dを劇場鑑賞したことがあるだけで、大人になってからの彼女をまるで知りません(汗)
そのため、昨年レネーがガーランドの伝記でオスカーを受賞した時にも、フーンって感じで・・
本作を観ても、レネーの演技がジュディ・ガーランド本人に似てるのかどうかさえわからなかったんですよね(大汗💦)
それでも、まるで別人な風貌で一人の女性を演じきるレネーの演技には惹きこまれたし、何よりも、吹き替えなしという圧倒的な歌唱に驚かされました。
勿論歌声だけではなくて、ヤク漬けでボロボロなさまも痛々しく表現していたし
そんな身体でも、歌いだした途端に観客を魅了するステージパフォーマンスは圧巻。
ジュディ・ガーランドを知らない私が言うのは変だけど、こうゆうのを憑依してるというのではないかと思いましたね。いやはや凄い。
そもそもは、太っちゃダメという理由で17歳の時から麻薬を与えられ、働くだけ働かされて、挙句、普通の幸せも手にすることができなかったジュディ。
落ちぶれ、お金がなくても、子供たちと一緒に暮らせる未来に希望を持ち続け、
ファンにベストなステージを届けたいと願った天性のパフォーマー。
夢打ち砕かれた彼女の、やつれた姿を見るのは辛かったけれど
最後に見せる意地と、ファンの温かさには胸アツでした。
取りあげるべきアカデミー関連作品はまだたくさんあるけれど、オスカー月も終わりということで、これにて特集終了です。
波乱(?)のアカデミー賞授賞式
アカデミー賞授賞式が終わりましたが、もう少し『31 days of oscar 2021』祭り続けます。今日はDay8ということで、授賞式の感想などを。
コロナ禍ということで、ショー的なものを省いた地味な授賞式でした。その分受賞者のスピーチに時間制限をつけずに存分に語らせたのはよし。
トップ画像は『ノマドランド』のクロエ・ジャオ監督。ノーメイクにスニーカーといういで立ちが印象的です。
『ノマドランド』は下馬評通り作品賞、監督賞、主演女優賞の三冠に輝きました。
でも最後にとんでもサプライズが待ってたんですよね。
例年、監督賞、作品賞で〆る授賞式ですが、今年は主演女優賞、主演男優賞の発表を最後に持ってくるという変形構成でした。
おそらく、昨年亡くなったチャドウィック・ボーズマンの受賞を見込んで
最後にエモーショナルに盛り上げようという狙いがあったのでしょう。
ところがですよ、予想に反して、主演男優賞はアンソニー・ホプキンスの手に。
当のホプキンス氏は欠席しており、代理人がオスカー像を受け取ってじんわりお開き💦
尻切れトンボな終わり方に、「え?」となったのは私だけじゃないですよね。
いや、アンソニー爺は何も悪くないんですけどね。
わ、ワシかい!?と、彼自身がご自宅で一番慌てたかも(笑)
ま、しかし、このどんでん返しが、地味な式にさらに輪をかけ
放送事故みたいになってしまったのが、一番サプライズな授賞式でした。
受賞結果はこちらから。
【Personal Note】
今年もいつものブログ仲間とTwitterで授賞式を楽しみました。
非公開のDM機能を利用し、招待されたメンバーのみでやりとりするので気楽です。
【映画】ヒルビリー・エレジー -郷愁の哀歌-
ヒルビリー・エレジー -郷愁の哀歌-(2020)
Hillbilly Elegy
【あらすじと感想】
名門イェール大学に通うJ.D.ヴァンス(ガブリエル・バッソ)は、就職の面談を前日に控えたある日、姉からの電話で母親が薬物中毒で入院したことを知る。
今また彼の人生に家族の問題が立ちはだかろうとする中、J.Dは故郷に帰省し、過去に思いを馳せる。
『31 days of oscar 2021』祭り ーDay7
J・D・ヴァンスによる回顧録『ヒルビリー・エレジー アメリカの繁栄から取り残された白人たち』を映画化したNetflix作品です。
監督は『アポロ13』のロン・ハワード。
荒廃した田舎町で貧困にあえぐ3世代の家族の現実を、孫世代に当たる原作者が回顧録としてしたためたものです。
これ、観終わって思うのは、原作の副題”アメリカの繁栄から取り残された白人たち”のあたりは、あまり感じなかったなぁということ。
郷愁に重きを置いたのかもしれませんが、映画の半分以上はホワイト・トラッシュと言われる白人家族の、荒んだ暮らしぶりが描かれ、正直観ていて辛い。
しかし、そんな暮らしの中から、弁護士になってベストセラー本まで執筆した孫息子が出たのは大したものです。
何が彼の人生を変えたのか。
これからご覧になる方は前半ちょっと我慢して、中盤以降に描かれる、おばあちゃんの頑張りご覧ください。
悪の連鎖を断ち切り、D.Jの人生に光をもたらす役割を担ったのが、おばあちゃんです。
貧困の根底には「不幸な状況に身を置くことを、誰かのせいにして諦める」ことがあるという部分には、ハッとさせられるものがありました。
おばあちゃんを演じるのはグレン・クローズ。
今回、怪演と評される演技でアカデミー賞候補になりましたが、
同時に、ラズベリー賞のワースト助演女優賞にもノミネートされてるんですよね。
思うに、あまりにも本物ソックリなところが悪評に繋がったのではないだろうか。
伝記ものによくあるように、本作でも最後に写真の「ご本人」たちが登場するんですが
本物なのかグレンなのかわからないくらいにそっくりなんですよねw
おばあちゃんの奮闘で、孫の人生が変わり始めるさまには感動するし、グレンも忠実に役をこなしていると思うんですが、普段の上品な雰囲気とのギャップが凄くて、ギャグに思えるほどというか・・(汗)
アカデミー賞技術部門では、メイクアップ&ヘアスタリング賞にもノミネートされていて、娘役のエイミー・アダムスも激似。
演技の巧さよりも作り込みが印象に残ってしまったので、ソックリ劇場もほどほどがいいのかも。
【Personal Note】
今回から個人的なつぶやきをPersonal Noteとして書き添えることにしました。
ささやかなあとがきです。
・・・・・・・・・・・・
グレン・クローズのノミネートに関連し、私自身のちょっと苦い思い出についてひとこと。
グレンさんは一昨年も『天才作家の妻 -40年目の真実- 』でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされたんですよね。インディペンデント・スピリット賞やゴールデン・グローブ賞を受賞し、アカデミー賞でも、ついに!と期待された年でした。
私はTwitterを通じ、ブログ仲間と授賞式を楽しんでいたのですが、グレンが受賞を逃したことで、トラブル発生。
がっかりするブログ仲間の一人に「またいつかとれるよ」と声をかけ、ひどく怒らせてしまったのです。
「8回ノミネートされ結局一度も受賞がかなわなかったピーター・オトゥールを知らないのか」と。「安易な言葉は人を傷つける」と、叱られました。
グレンも今年オトゥールに並ぶ8回目のノミネートです。
大方の予想ではグレンの受賞の確率は低そうで、「歳をとると機会も少なくなる」との言葉も蘇ります。
実力者が必ずしもいい作品に恵まれるわけでもなく、
いい作品に恵まれたとしても、その上を行く人も出てくる
受賞は時の運という側面もあって、本当に難しいのだと
自分の言葉は安易だったと思い知ることになりました。
ごめんなさいと、なかなか素直に言えないけれど
いつか、反省の気持ちを伝えようと思う今日の日です。
シーサイドガーデンでランチ
昨日はランチに、シーサイドガーデンさんというカフェにお邪魔しました。
可愛い2匹のワンちゃんがお出迎え。
マリンブルーの海に面した庭が綺麗に手入れされ、とっても素敵です。
お庭はこんな感じ。
ピザ窯もいいなぁ。
入場料の500円にはドリンク代が含まれ
食事はハンバーガー一択(パテはシングルかダブルかをチョイスします)
待ってる間、海を眺めながらまったり。
長閑だぁ。
聞けばここは作家の森瑤子さんの別荘だったそう。
お気に入りの場所だったに違いありません。
町の図書館に森瑤子さんのコーナーが広々とあったのは
島とのそんなゆかりからでしたか。
海を眺めながらバーガーをいただきました。
デザートのミルクレープはお腹と相談して断念。
持ち帰れないとのことなので
また今度、おやつ目的でお邪魔するとしましょう。
こんな素敵な場所に来ると、
家の庭もどうかしないとな、と思いますね。
今朝はさっそく草取りしました(笑)
たまに刺激をもらうのがいいですね。
【映画】オリバー!
おとといの19:22、我が家は突然停電に見舞われ、約17時間後の昨日ようやく復旧しました。9割がた仕上げていた『オリバー!』の記事を保存する前だったのですべて消滅。停電以上に悲しかったわぁ。。
オリバー!(1968)
Oliver!
【あらすじと感想】
ロンドンの孤児院では、子供たちが粉挽きの仕事をさせられている。
腹ペコの子供たちを代表して、オリバーがオートミールのお代わりを要求するが、理事の怒りを買って売りに出されてしまう。
お試しで買われた葬儀屋を抜け出し、ロンドンにたどり着いたオリバー。街で出会った少年ドジャーに案内された廃墟は
フェイギンという老人の仕切る子供窃盗団の隠れ家だった。
『31 days of oscar 2021』祭り ーDay6
1968年に製作されたキャロル・リード監督によるミュージカル映画の傑作です。
原作はチャールズ・ディケンズの『オリバー・ツイスト』。
孤児院で暮らすオリバー君(マーク・レスター)が、腹ペコの仲間を代表して、オートミールの「お代わりをください」ってお願いするシーンが有名な本作。
孤児院を追い出され、外に売りに出されたオリバーが辿る、数奇な運命を描く作品ですが、ミュージカルにしたことで、19世紀のロンドンを鮮やかに描き出すことに成功しています。
冒頭の孤児院のドタバタもいいですが、あらゆる職業の人々が次々に登場し、ロンドンの街を埋め尽くすミュージカルシーンが圧巻!
出演者はいったいどれくらいいるんだ。
エネルギッシュで楽しいパフォーマンスには、初めて外に出たオリバーじゃなくても、見入ってしまいます。
オリバーはドジャーという少年と出会ったことから、窃盗団のアジトで寝泊まりすることになります。
一味を仕切るフェイギンにロン・ムーディ。コミカルな動きが楽しくてね。
志村けんさんは映画をたくさん観て、コメディの研究をしたと聞くけれど
フェイギンの動きや間のとり方なんかも、絶対に参考にしてるよね。
そのフェイギンは原作では絞首刑になるらしい。
悪党にはそれなりの制裁が待っているということか。
でも本作ではフェイギンは決して根っからの悪党じゃないという見せ方です。
食事を準備する場面を二度ほど見せているのも印象的で、子供たちに、少なくとも孤児院の子たちよりも美味しそうなものを食べさせてあげている。
老後に不安を抱き小金を貯め込んでいるものの、子供たちを守ることを最優先するところにも優しさを感じます。
オリバー・リード演じる大泥棒の最期に見るように、泥棒稼業に身を置くものは、いつかは罰を受けると示唆しながらも、フェイギンの処刑までを見せることなく、ドジャーとともに悪の道を行くことに 少しのペーソスと清々しさを感じさせるラストがよかったですねぇ。
汚い恰好をしていてもどこか品のあるマーク・レスターは出自に秘密のあるオリバーにピッタリ。
オリバーにはオリバーの、ドジャーにはドジャーの行く道がある。
格差社会を憂うのとも、貧しき者に同情するのともちょっと違う。
裕福な者にも、悪に走る者にも、それぞれの価値観や生きざまがあるというのを描いた人間賛歌。
珠玉の一本かと思います。
アカデミー賞では作品賞、監督賞など6部門を受賞。
フェイギン役のロン・ムーディが主演男優賞、ドジャー役のジャック・ワイルドが助演男優賞にそれぞれノミネートされました。
個人的にはサイクスの相棒のワンちゃん、ブルズアイに助演ワンワン賞をあげたいです。