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映画ノート

ヘンダーソン夫人の贈り物


2005年(英) 監督:スティーヴン・フリアーズ 出演:ジュディ・デンチボブ・ホスキンス/ウィル・ヤング/クリストファー・ゲストケリー・ライリー/セルマ・バーロウ/アンナ・ブリュースター 【ストーリー】1937年、富豪の夫に先立たれ莫大な遺産を受け継ぐことになった未亡人のローラ・ヘンダーソン。遺産の使い道としてソーホーの中心にあったウィンドミル(風車)劇場を買い取ることを思いつく。そして、支配人として雇ったヴィヴィアン・ヴァンダムと二人三脚で、劇場経営に乗り出した。ノンストップ公演が受けて上々の滑り出しをしたものの、次第に客足は落ち込み、経営は苦しくなっていく。そこで夫人は、女性の裸をステージで見せることを提案する。前代未聞の“ヌードレビュー”はセンセーションを巻き起こし興行は盛況を博す。そんな中、街には戦争の足音が迫ってくる…。
■感想
ジュディ・デンチ主演のエンターテインメント・ムービーです。
ジュディ演じるのは70前の富豪の未亡人ヘンダーソン夫人。
夫を亡くした夫人。お金も暇もある。さてこの後の人生、どうしましょうと考えてみる。

そこで思いついたのが劇場経営。これ実話らしいです。
イギリスで初めてヌードレビューを登場させた実在の劇場“ウィンドミル劇場”
ヘンダーソン夫人は素人オーナーとして経営に乗り出します。

気まぐれな富豪夫人として、奔放に振る舞いながら、内面では強い意志を持った女性。
一見、ただのおもいつきに思われた劇場経営、ヌードレビューでしたが、
これには彼女の秘密に起因した大きな理由がありました。

戦争が激化し、町に戦火が及ぶようになり、人の集まる劇場閉鎖の危機に直面します。
そこで、ヘンダーソン夫人の劇場経営への思いが明かされます。ここには涙腺が緩みます。

敏腕支配人として雇ったヴィヴィアン・ヴァンダムとのやりとりもとびきり可笑しい。
言い争いを繰り返しながらも、深い信頼関係を築いていく様子も清々しいものがありました。
ヴィヴィアンを演じるボブ・ホスキンスも渋い役者さんですね。

ジュディ・デンチはこの作品でアカデミー主演女優賞にノミネートされました。
気まぐれ、奔放。そんなに夫人を楽しみながら演じてる感じ。
けっして、美人とはいえない彼女が時に少女のように可愛らしかったり、
その心の奥に潜む悲しみを感じ、はっとさせられたり。さすがです。
この年で(失礼)主演を魅力的に演じられるということがまず凄いですね。

戦争を背景に、当時の民衆に明るい笑いと歓びを提供した“ウィンドミル劇場”
その魅力的なパフォーマンスも見所の一つです。

監督は「ハイ・フィデリティ」のスティーヴン・フリアーズ

★★★★☆