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映画ノート

ブーリン家の姉妹(BBC製作版)


2003年(イギリス)監督:Philippa Lowthorpe  原作:フィリッパ・グレゴリー出演:ナターシャ・マケルホーン/ジョディ・メイ/ジャレッド・ハリス/スティーヴン・マッキントッシュ   ジャック・シェパード/ジョン・ウッドヴァイン 
    

さりげにイギリス特集中。。

■感想
スカヨハ&ナタリーの『ブーリン家の姉妹』が製作される前に、2003年に、イギリスのBBCがTV映画として製作、放映していたのがこちらの作品です。

原作者は同じくフィリッパ・グレゴリー
なので内容的にはほぼ同じなのですが、ジャスティン・チャドウィック版に描かれていなかった内容があったり、登場人物の心理描写なども違っているところもあり、とっても興味深く観ました。

【以下、チャドウィック版との違いを説明するため、ネタバレを含みます。これから観ようと思われる方はご注意ください】

まず登場人物ですが、アンに『ラスト・オブ・モヒカン』のジョディ・メイ、メアリーに『ソラリス』のナターシャ・マケルホーンです。
メアリーは明らかにアンよりも美しい女性。そしてここでは実際にそうであったようにメアリーの方がお姉さんです。




なりそめも違っていて、姉妹同じように侍女として宮廷に仕えていながら、王は美しいメアリーをみそめるというもの。

このときメアリーには夫もいる訳ですが、こちらでは妻を王の妾に差し出さなければならない夫の苦悩も描かれていました。
王とベッドを共にするメアリーに夫は「今晩は行くな」と言ってみたり、無理とわかれば「自分は娼婦を捜すさ」なんてごねたりするんです。勿論メアリーにも葛藤があって、人妻の身でありながら王に抱かれることを神を欺く罪だと泣き嫌がるのですが、父も母も王を欺くことは神に背くことだと諭すんですね。なんだかこの辺りの描写の違いが面白い。

メアリーの妊娠中に王の気が他に向くことを怖れた叔父と父親が、アンを王の慰めに送り込むというところは同じ。
ただアンとしては、かつて恋人の仲を引き裂かれたことで父や姉に復讐しようとする気持ちが強いという描き方です。

それにしてもアンはあまり可愛げがないのですよ。特に王の気を引く手段がなんとも‥。
いつもは胸を押さえるようなドレスを着てるのに、王の気を引こうと近づくシーンではばかに豊満なバストが目立つ(笑)
YouTubeそのシーンがありました。 1分半あたりのところチェックしてくださいw
アンが部屋に入るだけでオトコどもの動作が止まり、王も目がアンのバストに釘付けなのが笑えます。

弟ジョージ(ティーヴン・マッキントッシュ)の描き方も少し違っていて、姉妹と密接というよりも父や叔父と近い感じ。
アンに子供の父親になることを懇願されるシーンでは死ぬほど嫌がってました^^; こちらの方がゲイっぽいかなw

所々にアンとメアリーの独白が入る形で、それぞれの心情が細かに語られているのもわかりやすかったですね。
常にメアリーに羨望の気持ちを持っていたアンが、処刑が決まり、心からメアリーの幸福を祈る姿が切なかったです。


どちらが原作に忠実なのかもよくわかりませんが、スカヨハ&ナタリー版がやや現代的で派手な印象だったのに対し、こちらはイギリスらしく地味ながらも重厚な雰囲気でした。
王を演じたジャレッド・ハリスも良かったです。

日本ではDVDになってないようですが、来月CSで放送もあるようなので、機会があればご覧ください。



★★★★☆