しまんちゅシネマ

映画ノート

スプライス

 
2010年(カナダ/フランス/アメリカ)
監督:ヴィンチェンゾ・ナタリ
出演:エイドリアン・ブロディ/サラ・ポーリー/デルフィーヌ・シャネアック
■感想
禁断の生命体を作り出した科学者の心理に迫るSFホラーです。
監督は『CUBE』のヴィンチェンゾ・ナタリ
 
科学者の夫婦、クライヴとエルサは、法と倫理を無視して、禁断の実験に身を投じてしまう――
それは、人間と動物のDNAを配合して、“新生命体”を創り出すことだった。(公式ページより)
 
掛け合わせる、合成するなどの意味を持つのがタイトルとなっているスプライス(Splice)です。
 
遺伝子工学の発達は、医療の世界に大きく貢献するものではあるけれど
一方では倫理的な問題と背中合わせでもありますね。
 
本作では科学者の夫婦が人間の遺伝子をもったクリーチャーを作り出してしまうんだけど、
最初、二人は科学の発展に貢献する「もの」としか見ていない。
ところが、母親に虐待された経験から自分の子供を持つことが出来ないでいるエルサ(サラ・ポーリー)は
そのクリーチャーに母性を感じ、育てる楽しみを満喫してしまいます。
小さいときは何気に可愛いのよね。。
でも、急速に成長するその子に、夫クライヴ(エイドリアン・ブロディ)は女を感じてしまい
とんでもない三角関係が生まれてしまうという・・(汗)
 
こういうクリーチャーを描くのって、勇気が要りますよね。
しかもその性的な描写がなんともえぐい
それゆえ、賛否は別れる作品かもしれません。
 
それでも面白く観ることができるのは、
ドレンと名づけられたクリーチャーの成長が予測不可能である点、
しかも3人の関係が複雑になるにつれ サスペンス性が高まってドキドキ。
いつのまにかモンスターになったドレンにウギャーなのです。
 
思えば二人のやってることはエゴでしかないのだけど
サラとエイドリアンが演じると、そんな悪いやつに見えず、
彼らに起こる悲劇にも同情してしまうところはありました。
 
今の時代、こういう問題も絵空事と笑い飛ばせないところがあり
だからこそ、怖さを感じる作品ですね。

日本公開は来年1/8~