しまんちゅシネマ

映画ノート

ふくろうの叫び

 

cinema de しりとり 19回目 【ふ】

今日は『ライト・スタッフ』から繋がって、「ふ」で始まる映画
4人の男女が織り成す恋愛関係が、思わぬ惨劇を生む様子を描く『ふくろうの叫び』
原作は『太陽がいっぱい』のパトリシア・ハイスミス。監督はクロード・シャブロルです。
 
 
ふくろうの叫び (1987) フランス/イタリア
監督:クロード・シャブロル
出演:クリストフ・マラヴォワ/ヴィルジニー・テヴネ/マチルダ・メイ/ジャック・プノー/ジャン=ピエール・カルファン

 
■感想
ジュリエット(マチルダ・メイ)は、このところ家の周囲で聞こえる物音を気にし
婚約者のパトリックに不安を漏らす。
その音の正体はロバート(クリストフ・マラヴォワ)。
離婚交渉中で一人郊外に暮らすロバートは、こっそりジュリエットを盗み見するのを楽しみとしていた。
いわゆるストーカー。
そんなある日、庭に出たジュリエットはロバートに気づき、二人は対面を果たす。
ロバートはあっさりのぞきの事実を認めるが
驚いたことにジュリエットは、彼をを家に招きいれ、お茶を振舞った。
ロバートの発する死の香りに気づきもせず・・・。

この映画、二人の出会いをきっかけに、妙な歯車が回り始め
ジュリエットの婚約者、ロバートの元妻を巻き込んだ惨劇へと発展します。
タイトルにある「ふくろう」は、死の使者とも言われる鳥。
ロバートの部屋は彼の描いたふくろうの絵で埋め尽くされています。
ロバートに運命を感じたジュリエットが、死の扉を開けてしまったのです。
 
でも、ロバートにしてみれば、遠くから覗き見していたかっただけ
ジュリエットに接近され、ゴタゴタに巻き込まれるのは迷惑極まりなかっただけに
なんとも皮肉なお話です。
シャブロルは「運命というものがいかにして人間に牙を剥くか、
いかに人間が相互に不幸をもたらすものであるか」を描きたかったのだとか。
 
印象的だったのは、ラストシーン。
あることから自分の目の前にあるナイフにロバートが手を伸ばしかけ
それを制する心の声と戦うところでジ・エンド
ディスク不良で止まったのかと思うほどの間に、驚いたのもあるけど
この後のロバートの行動を見せずに終わるところが憎い。
「『めまい』を見て以来、どんな意外な結末も許されると思うようになった」という監督。
うん、確かに、「そうくるか!」の意外なラストです。
 
途中ジュリエットの婚約者に襲われ、額から血を流しながら、高級レストランでお食事とかw
とんでないシーンがシャブロルらしい(笑)

シャブロルの言葉として引用した部分は、HKさんに教えていただきました。
ありがとうございます!

ところで、まもなく始まるフランス映画祭の特別企画としてシャブロルが特集されるようですね。
これまで日本未輸入だった作品にも邦題がついてたりして、ワクワク。
ということで、これからもシャブロル追っていきます。
 

次は「」から始まる映画です。ヽ(゚∀゚ )ノ ビ~