しまんちゅシネマ

映画ノート

ボヴァリー夫人

 
 
1991年(フランス)
監督:クロード・シャブロル
出演:イザベル・ユペール/ジャン=フランソワ・バルメ/クリストフ・マラヴォワ/トーマス・シャブロル
 
■感想
シャブロル追悼 終盤は新めの作品から。
原作となるのは、ギュスターヴ・フローベール(1821~1880)の名作『ボヴァリー夫人』。
ジャン・ノワールヴィンセント・ミネリ他、これまでに何度も映画化されてるようですが
今回私はお初でした。
 
後期シャブロル作品のミューズイザベル・ユペール演じるヒロイン エマは、
父親の怪我の治療に当たったボヴァリー医師に見初められ嫁ぎます。
この医師、先妻を病気で亡くした男やもめ
若く美しいエマを妻に迎えて、とても大事にしてくれるんだけど
平凡な夫、退屈な田舎暮らしは、次第にエマを憂鬱にしていくのね。
いつしか不倫に走り、ぜいたく品に身を包むようになり・・
借金を重ねた挙句、不幸な死を遂げることになるんですねぇ。。
 
誰かに褒められたい 認められたい そんな思いは誰にもあるものだけど
美しく自尊心の高いエマは格別にその思いが強かったのでしょうね。
堅実で優しい夫も、刺激がなく物足りない。
何かにつけイライラしてしまうと、もう愛せないわけで・・・
こんなはずじゃなかったと思うことはあるよね。
その気持ちは分からないでもない。
でも、なんだろなぁ。
このヒロインに共感するのは凄く難しい。
オリジナルの小説を読んでないし、他の映画も観てないので何も比べられないのだけど
シャブロルは敢えて共感出来ないように描いてる気がしたな。
 
不倫相手も全然素敵じゃないし、ロマンティックじゃないからエマは滑稽に見えるし
死の床であそこまで苦しむ姿を描くなんて、普通はないよね。
 
ラストも、ボヴァリー家のその後を説明した後、
「薬剤師は名声も得て、勲章ももらいました」で、おしまい。
え?そんな締め?って目がテンになったんだけど
考えたら、一見親切そうなカールおじさん似の薬剤師が色んな誘惑の仲介者で
不幸の元凶だったんじゃないか~?って思えてきた(笑)
そんな描き方もシャブロルらしいところかな
この映画で一番のお気に入りは、19世紀のフランスの田舎町の風景だったりします。
絵本から抜け出たような長閑な感じが素敵なんだよね~。
あとシャブロルの映画によく登場するお葬式や結婚式の風景も
この映画の中では格別なのよ。
 
どう?こんな感じ こういうの観れただけでもかなり満足
あと、足の切断を余儀なくされた青年の義足とかね、
ひしゃく?とかって思ったけど、昔はこういうのだったのかな。
他の監督の描く『ボヴァリー夫人』も観てみたくなったけど
お薦めあったら教えてください。