しまんちゅシネマ

映画ノート

星の旅人たち


 
今日は映画2本斬り。
まずはエミリオ・エステベス監督、マーティン・シーン主演の『The Way』
星の旅人たち(2011) アメリ
監督:エミリオ・エステベス
出演:マーティン・シーンデボラ・カーラ・アンガー/ジェームズ・ネスビット/エミリオ・エステベス
アンジェラ・モリナ/エウセビオ・ラザロ
 
マーティン・シーン演じる眼科医のトムに、息子のダニエル(エミリオ・エステベス)の訃報が入る。
ダニエルはフランスから、スペインのサンディエゴ・デポステーラへの巡礼の旅の途中
悪天候で命を落としたのだった。
現地に赴き、リュックサックやジャケットなどの遺品を受け取ったトムは、
息子が果たせなかった巡礼をやり遂げることを決意し旅に出る。。

悲しい場面でもないのに、やたら泣けてしまう映画があって、
それは間違いなく自分の中では名作に位置します。
比較的最近では二コール・キッドマンの『ラビット・ホール
そして本作も久々に泣きのツボを刺激され、出会ったことに感謝したくなる作品でした。
 

トムとダニエル父子を演じるのは、実の親子のマーティン・シーンと監督兼任のエステベス
映画の中でトムは、息子と進路のことで意見を対立させたり
ふたりは長年、心を分かち合うことができない父子だったんですね。
そんなトムが巡礼を思い立ったのは、息子の最後の目的を果たさせてやろうという思いから。
息子が巡礼に何を求めていたのか知りたかったということもあるでしょう。
 
旅の途中、トムは大食漢のドイツ人男、わけありカナダ女、騒がしいアイルランド人男の巡礼者と出会い
行動をともにします。
映画は、最初3人の誰にも警戒心を抱いていたトムが、相手を知ることで
次第に心を開いていく様子を描きます。
自分の価値観でしか相手を見れなかったトムが、相手を知り理解することを学ぶ
トムにとって、自分探しの旅となるわけで、
それは、死んだダニエルの導きでもあったんでしょうね。
 
私は宗教心もないし、巡礼の真の意味合いも知らないけど
巡礼に出る人の目的はさまざまで、必ずしも宗教によるものではないのだと知りました。
 
巡礼者の寝泊りする宿や巡礼の途中で出会う異国の人々に
それぞれの文化を見せたり、外国人から見るアメリカ人の描き方にユーモアを交えたり
クスっと笑える部分もたくさん。
 
目的地の寺院での、宗教の儀式の荘厳さには鳥肌がたつほどに感動し、ひたすら涙でした。
 

死んでしまった息子と心を通わせる・・というのは、おかしな表現だけど
父子が真の父子になる物語でもありますね。
マーティン・シーンの演技がすばらしい。長く歩いたのも大変だったろうなぁ。
 
これってあまり宣伝もされてない作品だけど、本当に凄くいい!!
監督としてのエステベスにも「御見それしました!」の一本です。