ペーパー・ムーン
ピーター・ボグダノヴィッチがライアン・オニール、テイタム・オニールの父娘を起用し描く陽気なペテン旅行。
最高にハートウォーミングなロードムービーです。
ペーパー・ムーン
1973年(アメリカ)
原題:Paper Moon
監督:ピーター・ボグダノヴィッチ
出演:ライアン・オニール /テイタム・オニール /マデリーン・カーン /ジョン・ヒラーマン
ランディ・クエイド
聖書を売り付けて小金を稼ぐ詐欺師のモーゼが、亡くなった知り合いの娘アディと出会う。
彼は嫌々ながら彼女を親戚の家まで送り届ける事になったが、ペテンの相棒としてアディと旅を続けるうち、モーゼは父親めいた愛情を感じていく……。
父親を知らない9歳の少女アディに扮するのがテイタム・オニール。
母を無くし一人ぼっちになったアディー。
その葬儀に参列したモーゼは母の友人らしい。
「あごが似てるから、あんた、この子の父親?叔母さんのところへ連れてってあげなさいよ」
みたいなノリで、アディと一緒に旅することになったモーゼ。
モーゼを演じるのは「ある愛の詩」のライアン・オニール。
実のパパだもの、あごも確かに似てるよね。
モーゼが生業としてるのが未亡人を相手にしたセコイ詐欺なんだけど、
モーゼという名前で、聖書を使ったペテン師ってところがまた面白い。
あれよという間に詐欺の片棒を担ぎ
しっかりモーゼの相棒の役割を果たしていたアディ。
危ない橋を渡りながらの珍道中。
アディは途中何度も「あなたは私のパパじゃないの?」と聞くけれど
モーゼの答えは「ノー」
本当のところは最後まで分かりません。
でも、二人には確かな絆が生まれていくんです。
「信じあえば… 愛しあえば… 助けあえば…
紙のお月様だって ほら!本物に 見えるでしょ」
これは、キャッチコピーの抜粋。
ベッドで煙草は吸うし、いつもラジオで聴くのは落語風
心の中の寂しさを隠しながら、小生意気に振舞うアディは
歳の倍も早く大人になろうとしてるかのよう
可愛いリボンがちっとも似合ってないのが最高に可愛いく
がに股歩きも、にんまり笑いもいけてます。
テイタムはこの演技でアカデミー助演女優賞獲得。最年少かな。
禁酒法の時代を背景にし、敢えてモノクロでクラシックな味わいなのもいいですね。
途中、決闘をして得たトラックのドアが壊れたり
ラストシーンで走り出した車に二人追いついて飛び乗るシーンは
『リトル・ミス・サンシャイン』を思い出したよ。
紙の月も、本物のお月様になりえる。
大好きな最高のロード・ムービーです。
★★★★☆