しまんちゅシネマ

映画ノート

ブラッド・ピット『ジャッキー・コーガン』




ジャッキー・コーガン (2012)アメリ
原題:Killing Them Softly
監督:アンドリュー・ドミニク
出演:ブラッド・ピットリチャード・ジェンキンスジェームズ・ガンドルフィーニレイ・リオッタスクート・マクネイリーベン・メンデルソーンサム・シェパード
日本公開:4/26~
ブラッド・ピットがマフィアの下に働く殺し屋を演じるクライムサスペンスです。

大統領選たけなわの2008年
マフィアの集う賭博場で覆面2人組による強盗事件が起き
ブラッド・ピット演じる殺し屋ジャッキー・コーガンが動き出します。
コーガン・・、えっと、ジャッキーと呼ぼうかな
原題のKilling them softlyは、「穏やかに殺す」というジャッキーの殺しのモットー。
ウェイトレスや売春婦へのチップをケチったりするのが大嫌いで
誰にも人当たりがいい一見好青年、もとい好中年なジャッキー(笑)
ま、そのソフトさと実像のギャップがシニカルでユーモラスなのですけどね。

ジャッキーにマフィアの指令を伝える交渉役兼ドライバーにリチャード・ジェンキンス
オブラートに包んだ物言いなんですが、言ってる内容はかなりエグかったりして
ブラピとの車での交渉シーンが笑えます。

ま、しかし、殺し屋のお話に、こんな会話劇を期待してなかったのもあって
初見時には、劇場で爆睡したんですよね(汗)
銀行のローン係な風貌のジェンキンスさんが何者かもわかりにくくて、入り込みにくかったのもある
ブラピ登場も開始後23分してやっとだし。
監督が『ジェシー・ジェームズの暗殺』のアンドリュー・ドミニクなのに早く気づいていれば
心構えもあったんですけどね。

一番の見所は素人2人が、マフィア相手に賭博場を強盗するシーン。
2人組の一人フランキーを演じるスクート・マクネイリーは、金に困って強盗に手を出すけれど、本来は誠実な男。仲間に誘ったジャンキーのラッセル(ベン・メンデルソーン)が犬のブリードをしていて、いつも犬を連れくるのが笑える。臭そうだしw





劇中やたらオバマさんの大統領選挙の演説が出てくるのは、候補者の唱える理想的なアメリカが幻想に過ぎないことを皮肉っているのでしょう。
ジャッキーに朽ちたアメリカを投影し、フランキーと比較させ、
正直で真面目な人間の生き難い世の中を描いた、そんな作品だったと思います。

賭博場のオーナーを演じるレイ・リオッタのお気の毒さ加減
モットーに反するジャッキーのお仕事シーンも一見の価値あり。