しまんちゅシネマ

映画ノート

アフターショック




11月になってしまったけど、プチホラー祭りとしても一本。
『恐怖ノ黒洋館』と同じ「シッチェス映画祭 ファンタスティックセレクション2013」から
チリ地震に見舞われた人々が遭遇する恐怖を描く『アフターショック』
イーライ・ロスが製作、脚本、出演のパニックホラーです。
アフターショック(2012)アメリカ/チリ
原題:Aftershock
監督:ニコラス・ロペス
出演:イーライ・ロスアンドレア・オズヴァルト、 ナターシャ・ヤロヴェンコ
日本公開:
南米チリのサンチャゴ。アメリカ人観光客の“グリンゴ”は、地元チリ人の2人組ガイド・ポヨとアリエルに案内され、観光コースを楽しんでいた。ポヨの計らいで美女3人と仲良くなり、地下のナイトクラブにいたところ大地震が発生。街は崩壊し、人々の悲鳴が響く中、刑務所崩壊で凶悪犯が脱獄し・・。

『アフターショック(余震)』というタイトルから地震の恐怖を描く作品だと思ったらちょっと違った。
勿論きっかけは地震だし、それによって命を落とす人もいるのだけど、
本作は地震後に遭遇することになる人間の悪意こそが怖いという話
アフターショックに二重の意味を持たせた形か。




東日本大震災のときに、被災された皆さんがきちんと列を作り、ガソリンや水を求める姿に世界中が驚き、褒め称えたのが記憶に新しい。
ところがチリを舞台にした本作では、崩壊した街でテレビを盗んだりと野蛮な悪行を繰り広げる人々が描かれ、こんなときに何やってんだと呆れちゃうんですよねぇ。
勿論脱獄した凶悪犯という設定ではあるけれど、日本ではたとえ刑務所から人が流れ出ても、こんな図は想像できない。日本だとやくざなのに炊き出しボランティアをするとかねw善意の物語になっちゃうでしょ。
改めて日本人って凄いわと思いますわ。

そんなこともあって、チリってこんなん?と驚くけど、
ここはあくまで映画と割り切って観るべきでしょう。

不条理極まりないところは、さすがイーライ・ロス
地震から生き残った人たちも一人また一人と命を落としていくんですが
そんな中にあって、いい加減な成金息子と思ったポヨのアリエルに向けた友情や
確執のあった姉妹が絆を強める様子などちょっといいお話もあります。
窮地にあるイーライ・ロスの「小さな抵抗」にも胸を打たれる。
勿論それが悲惨な結末を生むのは明らかで・・
そこはブラックジョーク的でもあるんですけどね。

自然災害を描いたものというよりは、シチュエーションホラー的にスリルを楽しむ作品ですね。
人間性や国民性を云々して映画を非難したり、グロが嫌いな人ははじめから観ないほうがいいかも。
地震が起きるまでの前半は助長に感じるけれど、後に繋がる伏線がありました。
ゴアで不条理なサスペンスがお好きな人にお勧めです。
ちなみに男性陣はイーライが一番いーくらいwだけど、女性は美人揃い。
セレーナ・ゴメスもカメオ的に出演してイーライ・ロスを冷たくあしらいますw