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映画ノート

【映画】『記憶探偵と鍵のかかった少女』






記憶探偵と鍵のかかった少女 (2013)アメリ
原題:Anna
監督:ホルへ・ドラド
出演:マーク・ストロング/ タイッサ・ファーミガ/ サスキア・リーヴス/ リチャード・ディレイン/ インディラ・ヴァルマ/ ノア・テイラー/ アルベルト・アンマン/ ブライアン・コックス
 
他人の記憶に潜入できるという特殊能力をもった探偵が、ひとりの少女の記憶に入り、隠された真実に迫るというミステリーサスペンスです。

主役ジョン・ワシントンを演じるのはマーク・ストロング
彼は優秀な記憶探偵でしたが、妻を自殺で亡くした心の傷から、他人の記憶に入るセッション中、自分の記憶が入り込み(『インセプション』だなw)、病気休養を余儀なくされてしまいます。
でもいつまでも休んでられない懐事情もあり、上司にお願いして与えてもらったのが「16歳の美少女アナの拒食の原因を探れ」というミッション。



生まれる前に父親を亡くし、母と継父とともに暮らす富豪の娘アナ(タイッサ・ファーミガ)はIQは高いが変わった子。
自殺未遂を犯したことから今は専用の看護師に24時間モニターで管理されています。
アナは継父が財産目当てで自分を精神病院送りにしたがっていると疑っており、ジョンに助けを求めます。
そしてアナの記憶に潜入したジョンは、そこに思いがけないものを見てしまい・・・
という話。



夢の中に入って心の奥に潜む真実を探るという作品は過去にいくつも作られてますが
本作が新しいのは、探偵も超能力者なら、捜査される側も超能力者なこと!
おかげで簡単と思った仕事は、病み上がりの身にはちと辛いものになっていくんですが
時にお尻が半分見せそうなキャミ風の部屋着姿だったりする可愛いアナに強面のマーク・ストロングもいつしか入れ込んじまうんですわね。
「拒食の原因が分かればいいだと?んにゃ!ワシはアナの全てを知りたい」みたいな。





皮肉なもんでジョンが冷静さを欠けば欠くほど、こちらは冷ややかに見れるわけで
慎重に成り行きを観察できた結果、衝撃的な結末についてはジョンよりも早くに分かりました(笑)
それに至る伏線も張られているので、ミステリーとしてはがんばってると思いますね。

ただ手放しに褒められないのは、鑑賞後感があまりよくないところだなぁ。
だって犯人は(ここでは明かしませんが)、真性サイコですよ。
それなのに最後、過去が吹っ切れておじさんようやく前を向くことができました的な
安易なものにつながる理由が私には良くわからん。
何か大事なものを見落としてる?

映画ってどんでん返しが面白ければそれでいいってもんじゃなく
最後にスッキリ爽快感があるとか、何か心を動かされてこそ満足を得られると思うほうなので、本作には最後少し物足りなさを感じた次第。

まぁでも、観てる間はどこに真実があるんだろうと引き込まれたし、出演者はみな頑張ってたしで楽しめたんですけどね。

タイッサはお姉さんのヴェラ・ファーミガ監督作品『ハイヤー・グラウンド』でヴェラさんの若い頃を演じてました。最近観た『At Middleton 』ではヴェラさんの娘役。歳の離れた姉妹だけどよく似てますもんね。
2015年も出演作目白押しのようで、作品に恵まれればヴェラさん以上の売れっ子になりそう。楽しみです。