【映画】マダム・フローレンス! 夢見るふたり
マダム・フローレンス! 夢見るふたり(2016) イギリス
原題:Florence Foster Jenkins
監督:スティーヴン・フリアーズ
脚本:ニコラス・マーティン
出演:メリル・ストリープ /ヒュー・グラント /サイモン・ヘルバーク /レベッカ・ファーガソン/ニナ・アリアンダ
【あらすじ】
夫の舞台に脇役で出演する富豪のフローレンスは、長年の夢だったオペラ歌手に挑戦!
【感想】
『クィーン】のスティーヴン・フリアーズ監督の新作、メリル・ストリープ主演のコメディ・ドラマです。
今回メリルが演じるのは、実在した有名なオペラ歌手フローレンス・フォスター・ジェンキンス
どう有名かというと、客も思わず吹き出すような音痴だけど自分ではそうとは知らず、かのカーネギー・ホールの舞台に立った人だそうです。
と聞いて「あれ?」と思う方も多いでしょ。
そう、カトリーヌ・フロ主演のフランス映画『偉大なるマルグリット』は同じ実話をもとにしてるんですね。
本作でまず光るのは、メリルの歌声ですね(笑)
もともと声楽も学んだメリルは声もしっかり出るし歌も素人にしてはうまいわけで
下手に歌うというのは逆に難しいでしょ。
それでも絶妙に音を外し、笑いを取るなんてなかなかできることじゃないはず。
しかも、天真爛漫なメリルの歌は、思わず吹き出してしまうことがあっても決して不快じゃない。
歌うことが楽しくて仕方ないというパフォーマンスに、映画の観客も、私たちも思わず笑顔になって
いつしか心から歌を楽しんでる。
本物のジェンキンスさんもきっとこうだったんだろうな、と思わせるところがメリルのすごさであり
フリアーズ監督の演出力でしょうね。
ただし、おそらくは伝記とうこともあって正直に描いたであろう夫婦の機微には
少々寂しい部分もあって、楽しいだけの物語ではない。
でも、光と影があるからこそ、泣いて笑える映画でした。
ジェンキンスの夫役にヒュー・グラント
実は音痴でみんなに笑われているという事実を妻が気づかないように奔走する優しい夫ですが・・
優柔不断さはそのままに、でもシニカルなちゃらんぽらんさが消えておやじになったヒュー様は人間に丸みが出ましたね。
本作で一番光っていたのは、ピアニスト役のサイモン・ヘルバーク
可笑しみとペーソスとやさしさをいい具合にブレンドしたキャラが際立って、彼がすごくよかった。
ピアノも実際に弾いてます。
そのサイモンさんが、映画が始まる前に「エンドロール後にカーテンコールでメリルとヒューと僕の話があるよ」と異例の予告。
いつもはエンドロールが始まるや入り口に清掃員が立って待ち構えるもので、普段はゆっくりエンドロールを観ることができにくいんですが、今回はみんな(2/3くらい)でエンドロールを見るといういつにない体験ができて新鮮でした。一度トイレに立った人まで戻ってきたりしてね。これも映画を楽しめたからこそ。
サイモン・ヘルバークを気に入ったからこそだと思いました。
こちら本物のフローレンスさん
メリルのメイクはやりすぎですね。
日本公開はいつかな