しまんちゅシネマ

映画ノート

グロリア(1980)

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グロリア

Gloria
あらすじ
マフィアの重大な秘密を売ろうとして惨殺された一家から男の子フィルを助けた中年女グロリア。しかし問題の秘密をフィルが持ち出していたことを知ったマフィアは少年をかくまったグロリアの命をも狙い始める。


ジョン・カサヴェテスが監督、ジーナ・ローランズ主演のハードボイルド映画。
マフィアに家族を殺された子供を託されたグロリアが、ただの近所のおばさん と思いきや
実は極道系の女で、グロリアを演じるジーナ・ローランズが最恐にしてカッコいい。
しかし所詮女と子供、2人はやがて追い詰められる。
ここでは基本ネタバレありで書くことにするので了承願いたい。
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何の情報も得ずに観ていたら、ラストシーンは逃亡の末のハッピーエンドと感涙に浸ったと思うが、前にブロ友HKさん(映画をつなげて観るブログ)のレビューを読んでいたので、違った感慨を持つことになった。
HKさんによると、最後、フィルの待つ墓場に現れたグロリアはすでに死んでいたのではないかとのこと。
確かにグロリアがあの状況でマフィアの家から生きて戻れたのは奇跡に近い。
しかもグロリアを乗せた黒いリムジンにはナンバープレートがなかった。
「墓場には死んだ魂が集う」との伏線もしっかり張られており
全編を流れる哀しげな音楽も相まって
「すでにグロリアは死んでいた」説に大いに頷いた。
さらに云うならば、フィルを連れてきたタクシーにもナンバープレートがなかった!
映画を観ながら、実は一番気になったのはフィルの大人っぽさだ。
彼の台詞の数々に、時には吹き出してしまうほど フィルは大人の男の影をまとっている。
グロリアはマフィアの情婦だが、
バスで出会った叔父さんはもしかしたらグロリアの元恋人の亡霊だったかも
どこかの時点でフィルもまた亡き者になっていた?と思うとき
フィルの身体を通し、かつて愛し合った魂が再会を果たしたのかもしれないなどと
妄想は限りなく膨らむのだった。
やりすぎると映画の感想にならないか(笑)
とにもかくにも
ベッドでのフィルの背中のセクシーさは必見。
フィルを演じたジョン・アダムス君はこれが唯一の映画出演作品らしい。
あら残念。


映画データ
原題:Gloria
製作国:アメリ
ジョン・アダムス
ジュリー・カーメン