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映画ノート

『7月4日に生まれて』は『プラトーン』とセットで観るべし


 7月4日に生まれて
Born on the Fourth of July

【あらすじ】
アメリカ独立記念日に生まれたれベトナム帰還兵のロンは、さまざまな心の葛藤を経て反戦運動に身を投じてゆく

ベトナム戦争帰還兵ロン・コーヴィックの自伝小説をもとにした戦争ドラマ。
自身も7月4日生まれのトム・クルーズが、戦争で下半身不随となった主人公ロンを演じ、アカデミー賞主演男優賞にノミネート。オリヴァー・ストーンが『プラトーン』に続いて監督賞を受賞しました。

今頃知ったのだけど、監督自身もベトナム戦争帰還兵らしいですね。
地獄のような戦場の現実をこれでもかと描いた『プラトーン』のラストシーンで、主人公を演じたチャーリー・シーンが「戦争で見たことを伝え、人生を意義あるものにすることが生き残った者の義務」だとモノローグで言ってましたが、それはまさに監督自身の言葉でもあったんでしょう。

その意味で、『7月4日に生まれて』は、『プラトーン』の続編のような気がしてなりません。戦場のみを舞台にした『プラトーン』では描き切れなかったもの。帰還兵が直面したPTSDと、世間の反応、戦争の背景にある政治的な思惑等等。オリヴァー・ストーンベトナム戦争は、そこまで描いてようやく終わったのだろうと想像。

映画的に面白かったのは、『プラトーン』で反目した2人の軍曹バーンズとエリアス、トム・ベレンジャーウィレム・デフォーをしっかり使っていること。

ベレンジャーはロンを戦場へといざない、デフォーはロンをトラウマに対峙させる。

プラトーン』で、死んだエリアスのことを、「天国というものがあるなら、ヤツはそこで飲んだくれてヤクを吸ってるさ」と言っていて、『7月4日に生まれて』でデフォーがそういうキャラになってたのも楽しい。
勿論そこはみせかけの「天国」でしかないのだけど。

ともあれ、『プラトーン』と『7月4日に生まれて』はセットで観ると「二度おいしい」グリコ効果があるのでお勧めです。

映画データ
製作年:1989年
製作国:アメリ
監督:オリヴァー・ストーン
脚本:オリヴァー・ストーンロン・コーヴィック
出演:トム・クルーズ
   レイモンド・J・バリー
   キャロライン・カヴァ
   キーラ・セジウィック
   フランク・ホエーリー
   ジェリー・レヴィン
   ウィレム・デフォー
   トム・ベレンジャー