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映画ノート

【ピーター・フォンダ追悼】ダーティ・メリー/クレイジー・ラリー

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イージー・ライダー』のピーター・フォンダが肺がんのため79歳でお亡くなりになりました。今日は追悼にアメリカン・ニューシネマな一本『ダーティ・メリー/クレイジー・ラリー』を。

監督は『ヘルハウス』のジョン・ダフ。・・・イギリス人なんだ(汗)


ダーティ・メリー/クレイジー・ラリー(1974)
Dirty Mary Crazy Larry

【あらすじと感想】
お金があって、いい車さえ作れればレースで勝てるのに・・
レースの相棒、レーサーのラリー(ピーター・フォンダ)とメカニックのディーク(アダム・ローク)は夢を叶えるため、スーパーマーケットの金を強奪することを企てる。

ディ―クが支配人宅で妻子を人質にとり、ラリーが支配人から金庫の金をいただく。作戦は成功し、15万ドルを手にしたラリーが停めてあったシボレーに乗り込もうとすると、そこには前夜ベッドをともにしたメリー(スーザン・ジョージ)が。ラリーとディ―クにメリーが加わり、3人の逃走劇が始まる。

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まずはディ―クとラリーのコントラストがいいね。
メカに強いディ―クは警察の無線を傍受したり、時間稼ぎに留守電を操作するオタク派。一方無鉄砲でやんちゃなラリーは超絶テクで車を走らせ、パトカーを撃破していく。

奔放なラリーに対し、むっつりすけべだが慎重なディークと女に対しても二人は真逆。

有名人と寝たことを自慢しながらも、実は誰にも愛されていないことを知ってる孤独なメリーとディ―クの間にさりげない心の交流があるのも面白い。

夢はどこへやら。大金を手にしたらもうレースに勝つことなどどうでもよいラリー。
目的など持たず、その場限りの快楽をむさぼる彼こそが、この時代を代表する若者の姿でしょう。ピーター・フォンダはそうしたラリーを実にうまく演じてます。カーアクションもスタントなしだというから凄い。

警察の隊長フランクリンを演じたヴィク・モローもいい。
少しの情報から犯人の背景を推しはかる洞察力と、自らヘリコプターに乗り込み空から陣頭指揮を取るリーダー性。そんな彼もバッジを身に着けることを嫌い、上司である署長の肝の小ささに辟易する、体制に抗うものの一人であるという構図もうまい。

無線傍受に気づいた警察と、指示の罠に気づいたラリーたち
だまし合いの果てに勝利するのは・・

最後は思いっきりアメリカン・ニューシネマ。

思えば伏線はありました。
途中画面いっぱいに写し出される踏切に、勘のいい人は途中からドキドキしたかもしれない。私のように初見では気づかず、唐突にショックを受けるのもまた、こういう映画の醍醐味ということで。

 ピーター・フォンダの冥福をお祈りします。

 

映画データ
製作年:1974年
製作国:アメリ
監督:ジョン・ハフ
脚本:リー・チャップマン/アントニオ・サンティー

出演:ピーター・フォンダ
   スーザン・ジョージ
   アダム・ロアーク
   ヴィク・モロー
   ケネス・トビー
   ユージン・ダニエルズ

台風で困ること

台風10号が日本を北上してますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
我が地方は、風はそれほどでもないものの、昨日は朝から短い停電が二度ありました。

一回目は5時くらいに停電したようで、パン焼き機が途中でストップ。
発酵までは終わっているようだったので、お釜のままオーブンに投入し
190℃20分焼き上げで事なきを得ましたが、あと5~6分は焼いた方が良かったかも。

台風で一番困るのは、フェリーが欠航になること。
物資が届かないのでスーパーから生鮮品が姿を消すんです!
今回みたいに続けざまに来られたら、目も当てられません。

私は生協の個配を利用してるのだけど、船がこなければ同じこと
8月7日から欠航になったため、8日に配達されるはずの注文が今だ届きません。
12日には船が来たのだけど、生協の配達はないまま。
条件付き(波の状況によっては途中の港止まり)だと、生鮮食品出せないからねぇ。

お盆のさなかでもあり、お客を抱えた民宿なんかも相当困ったはずです。
ようやく食材が届いた12日のスーパーは大変な混雑だったようですが
あっという間に棚はガラガラに。みんな次の船を待ちわびています。

我が家は甥っ子が友達を連れて4人で4泊する予定でしたが、結局来れず仕舞い。
でも、おかげで食材をたくさん準備していたため、食べるには困りませんでした。

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畑でナスやしし唐、オクラ、苦瓜が次々に採れるのも助かります。
近所の人や友人にもおすそ分けして喜ばれてます。

それにしても台風で食料供給不足になるの、どうにかならないものかしら。
自然には抗えないけど、港の整備やスーパーの食糧調達方の工夫(島内産の開拓)など
なにか対策できないかなぁと思う今日この頃です。

台風の進路にあたる地域の皆様、くれぐれもお気をつけて。

【映画】追想(2018)

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はてなブログ初映画記事投稿は、少し新しめの一本を。
新婚旅行先のチェジル・ビーチで起きた出来事を、過去の回想を交え描く『追想
『つぐない』のイアン・マキューアンの小説『初夜』の映画化で、マキューアン自身が脚本を書き、BBCドラマ『ホロウ・クラウン/嘆きの王冠』の3シーズンを手掛けたドミニク・クックがメガホンを取りました。

 

追想(2018)
On Chesil Beach

 【あらすじと感想】

新婚旅行でチェジル・ビーチのホテルにやってきたのは
楽家のフローレンス(シアーシャ・ローナン)と社会学者になることを夢見るエドワード(ビリー・ハウル)。
食事もそこそこに「初夜」に突入しますが、互いに初体験の二人
うまく事が運びません。

 

ベッドの上での奮闘は滑稽で、変にリアルなのはキワモノ的にも感じてしまうところ。
しかし、出会いや家族との交流がフラッシュバック的にさしこまれ
2人がいかに絆を深めてきたかがわかるから、単にイタい話じゃなくなってくる。

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すみません。早々に断っておきますが、今回は基本ネタバレで書いていきます。
未見の方はご注意ください。


中盤、フローレンスのトラウマに関わる部分が描かれると
彼女が性に抵抗を感じる理由もわかってきます。
不安や恐怖に抗いながらも、愛する夫に身を捧げようと頑張るフローレンス
しかし夫にその思いは通じず、彼は不器用な自分と不寛容な妻の両方にいら立ち
挙式後わずか6時間で、2人の間に決定的な溝ができてしまうんですよね。

殿方にはきっとエドワードの気持ちは理解できるでしょう。
しかし、その結末にただただ切なさが募るのです。


映画、小説とも原題はOn Chesil Beach『チェジル・ビーチにて』
実は、観終わってすぐに、映画のはじめに戻って見直してしまいました。

もしかして、ホテルへと続く海辺を歩く冒頭のシーンは、エンディングからの続き
「実現しなかった幸せな過去」を描いていたんじゃなかったのか
そう思ったんです。が、違いました。

まぁ、そうなると『ラ・ラ・ランド』の二番煎じと言われてしまうだろうから、違って正解なんでしょうが

あの時、フローレンスの申し出に応え、一緒にホテルに戻っていたら・・
2人でちゃんと話し合うことができていたなら、違った人生だったろうと思うと泣けて仕方なかったです。

でも三回目観て、少し見方が変わりました。
長い人生、失敗もあるし方向転換を余儀なくされることもある
でも、それが不幸だとは必ずしも言えないのですよね。

この作品はきっと、分かり合えなかったことを嘆いたり、どちらかを責めたりする映画じゃなくて
その時々を懸命に生きる人々への賛歌
恋することの喜びや青春の煌き、人を思いやるやさしさなどを描いた文学的な作品だと思いました。

シアーシャは老けメイク姿でさえ品よく美しい。
逆光を多用したイギリスの風景は絵葉書のようでもあり
クラシックとロックを織り交ぜた音楽も心地よい
目に耳に、心に響く一本でした。

 

映画データ
製作年:2018年
製作国:イギリス
監督:ドミニク・クック
脚本:イアン・マキューアン
出演:シアーシャ・ローナン
    ビリー・ハウル
    アンヌ=マリー・ダフ
    エイドリアン・スカーボロ
    エミリー・ワトソン
    サミュエル・ウェスト

こんにちは

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いきなりですが、はてなブログからこんにちは。

実は昨日、yahooブログを削除しようと思ったんですが

ただ削除するのもなんだなと思ってきてですね
せっかくだからツールを使ってみようとの好奇心に駆られちゃいました。

候補としてはアメーバブログもあったのだけど、フォントにこだわりがあるもので、どうにも気が向かない。
ならばということで、はてなを試してみることに。

昔使ったのははてなダイアリーだったかよく覚えてないのだけど、トラックバックが使えなかったからか、操作が難しかったのか、早々に撤退した過去があったのに、今回使ってみたらば、

あら、なにやらいい感じ。

gooで最後までやり通すと心に決めたのに、またまた心が揺らいでしまって。。

試しに少し記事を投稿してみることにします。

 

トップ画像は畑で生育中の小玉スイカです。

【映画】何がジェーンに起こったか?

 
最近は見逃しの名作映画を観ていくことを楽しみにしている最果ての映画ブロガーpu-koです。
 
今日あげるのは、まさに「今頃観たんかい!」な一本
ベティ・デイヴィスが怖い!」「これはホラーだ!」と噂に聞いていた『何がジェーンに起こったか』。ロバート・アルドリッチ監督による、サイコスリラーです。
 
婚何がジェーンに起こったか
What Ever Happened to Baby Jane?

【あらすじと感想】
「ベイビー・ジェーン」として、舞台で人気を博した子役スター、ジェーン・ハドソン。
しかし、20歳になるころには映画女優として頭角を現した姉ブランチのおこぼれで端役を得るのみに落ちぶれていた。
やがてある事故で両足の自由を奪われ女優生命を絶たれたブランチは、ともに50代になったジェーンの世話になり暮らしている。
女優で稼いだ姉ブランチのお金で食いつないでいるというのに、車いすの姉を厄介者扱いするジェーン。
ベイビー・ジェーンのことなど誰も覚えてもいないのに、過去の栄光を引きずり、昔みたいにショーをやりたいなどと妄想をぶちかますアル中ジェーンの姿に
こいつなんか変・・いや、ちと狂ってる と気づくのに時間はかからないのだが・・
 
ジェーン役にベティ・デイヴィス
え?50代??と思うほど老けているのに、子役スターの頃のままの縦巻ヘアーにおリボン。フリフリのドレスに厚化粧がしわを一層引きたたせ、ジェーンの風貌は強烈なまでに醜い。
ベティ・デイヴィスよくこんな役受けたなぁ。
ブランチ役ジョーン・クロフォードの恐怖におびえる表情も緊張に拍車をかける。彼女の衰弱ぶりまでがリアリティを際立たせ、タイムリミットに手に汗握ってしまうのですよ。
 
どんでん返しとともに「何がジェーンに起こったか」を知ることになる終盤
結局は二人とも親の愛情に飢えていたのだと、光と影が交錯したジェーンとブランチ姉妹の宿命と確執に胸が痛んだ。
時代の流れが生む芸術家の悲哀は『アーティスト』に通じるものもある。
 
監督は『ふるえて眠れ』『北国の帝王』のロバート・アルドリッチ
スリルとミステリーに悲哀を織り交ぜ、緩むことのない面白さ。デイヴィス&クロフォードの演技合戦も素晴らしく、見逃がしの名作を大いに堪能しました。

映画データ
製作年:1962年
製作国:アメリ
監督:ロバート・アルドリッチ
脚本:ルーカス・ヘラー