しまんちゅシネマ

映画ノート

サムサッカー


2005年(米)監督・脚本: マイク・ミルズ   原作: ウォルター・キルン 出演: ルー・プッチ /ティルダ・スウィントン /ヴィンセント・ドノフリオ /ヴィンス・ヴォーン     キアヌ・リーヴス /ベンジャミン・ブラット 【ストーリー】オレゴン州の閑静な郊外住宅地に暮らす17歳の少年ジャスティン。彼は未だに親指を吸う癖が治らず悩んでいた。両親が心配していることも分かっていたがどうしても止められない。行きつけの歯医者のペリー先生は、そんなジャスティンの悩みを解消するため催眠術を施した。
■感想
タイトルの「サムサッカー」。これはサッカー少年のお話しじゃありません。
親指をしゃぶることを「サムサッキング」というらしいんですね。
だからこれは指しゃぶりの抜けない少年のお話しでした。

17歳になっても指しゃぶりの癖が抜けなかったら…。やっぱりやばいよね。

新人ルー・プッチが演じるジャスティンは普通の家庭で普通に育った普通の高校生。
だけど彼は自分自身にも、自分の将来にも漠然とした不安をもち、自信をもてないでいる。
まわりの大人はそんなジャスティンを心配し、なんとか指しゃぶりの癖を止めさせようとします。

考えたら、17歳で自分に自信を持てる方が恐いかも。
誰でも自分に自信がなくって、漠然とした不安を抱える時期ってあるもの。

この作品は、17歳の少年の成長を描きます。
まわりのみんなは分かってくれない。そんな思いにかられる日々。
でもよくみたら、大人だって決して強くない。自分のことも精一杯気にかけてくれている
みんなの抱える不安に気づいた時、ジャスティンの心が開放されていくのです。

ある、ある!って感じで共感しながら観ることが出来ました。
20歳のルー・プッチははまり役ですね。なんか現実味のないボーっとした雰囲気もピッタリ。
センシティブな役を好演し、ベルリンで銀の熊賞、最優秀男優賞。サンダンスでも演技賞を受賞

歯科医にキアヌ・リーヴス等、脇を固める役者も何気に豪華。
でも、歯医者さんが催眠療法って…。精神科医じゃあるまいし。。ですけどね。

エリオット・スミスの挿入歌も映画全体の爽やかさをかもし出すのに一役買ってます。
しかしながら、この作品のサウンドトラックも担当するはずだった彼は
2003年、自らの命を絶ったのだとか。

観終わった後なんだか清清しく、爽やかな感動を与えてくれる作品でした。

公開中です。



★★★*☆