しまんちゅシネマ

映画ノート

死刑台のエレベーター


1957年(フランス)監督:ルイ・マル     原作:ノエル・カレフ出演:モーリス・ロネジャンヌ・モロージョルジュ・プージュリーリノ・ヴァンチュラヨリ・ヴェルタン/ジャン=クロード・ブリアリ/シャルル・デネ【ストーリー】土地開発会社に勤める技師ジュリアン(ロネ)は社長夫人フロランス(モロー)と通じており、邪魔な社長を殺す完全犯罪を目論んでいた。だが社内で社長を殺した帰途、残してきた証拠に気づいたジュリアンは現場へ戻ろうとするが、週末で電源を落とされたエレベーター内に閉じ込められてしまう。しかも会社の前に置いてあった車は、若いカップルに無断で使われており、彼らは彼らで別の犯罪を引き起こしていた……。
■感想
殺人事件を背景に男女の愛憎を描いたたサスペンスドラマです。



自分の会社の社長夫人フロランス(ジャンヌ・モロー)と不倫の仲にあったジュリアン(モーリス・ロネ)は、社長の殺害を計画し実行します。ところが、うっかり証拠品残してしまい、引き返した際に電源を落とされたエレベーターに閉じ込められてしまいます。完全犯罪が綻びを見せ始めるのです。

時間が過ぎても約束の場に来ない愛人を待ち、やがてあてもなく街へと歩き出すモロー。
何故彼は来ないのか?次々に浮かび来る疑惑を必死で打ち消すように首を振るモロー。
台詞もなく彷徨う姿だけで、胸の中に渦巻く不安、焦燥感、虚無感のすべてを表現しています。
夜の都会。バックに流れるトランペットの乾いた調べがけだるさとクールさを放ち、これがまた渋い。

物語の中でモローとロネが言葉を交わすのは冒頭の電話のシーンのみ。あとは一切絡みがありません。
それでいて、壮絶な愛憎を演じる訳で、こういう映画も珍しいですよね。

若い男女の無謀で身勝手な愛の形と対照的に描かれているところも印象的です。




古いフランス映画を殆ど知らないもので、このジャンヌ・モローも初めて顔と名前が一致したんですよ^^>"
凛とした美しい顔立ちで存在感のある女優さんですね。
ちょっとヘレナ・ボナム=カーターに似てませんか? 
ぼくを葬る」の時のおばあちゃん役ですね。あららー。

激しい愛がもたらす皮肉な結末。  
愛は永遠に終わらないと感じさせるラストシーンに、女の強さと愛の深さを見ました。

大きな感動がある作品というわけでもないものの、どこかクールで大人な雰囲気がいいですね。
でもこれを撮ったとき、監督のルイ・マルさんは若干25歳だったんですって。

まだ子供じゃん!私から見たら、、ですが…。ナニか? ヾ(∀≦* 


★★★*☆