しまんちゅシネマ

映画ノート

セルピコ


1973(米)監督:シドニー・ルメット出演:アル・パチーノ/ジョン・ランドルフ/ジャック・キーホー/ビフ・マクガイア/トニー・ロバーツコーネリア・シャープ/F・マーレイ・エイブラハム/アラン・リッチ【ストーリー】新人警官セルピコは正義感に燃えていたが、汚れきった警察内部の現状を知るにつれ、その思いは潰えていく。ただひとり賄賂を受け取らないセルピコは組織内で孤立し、やがて告発へと踏み切るが、その直後に彼は市内で最も危険な場所と言われるブルックリンの一画に配属されてしまう……。
■感想
汚職にまみれた警察組織に一人抗う警官の姿を描いた作品です。
セルピコはこの孤高の警察官の名前。これって実話ベースだったんですね。

冒頭、負傷し、病院に担ぎ込まれる一人の私服警官。
そこから画面は警察学校の卒業式のシーンへと遡り、希望に瞳を輝かせる若きセルピコの姿が映し出されるのです。

正義感に燃え、警察官になったセルピコでしたが、所属先の警察組織が汚職だらけ。
希望し、所属先を替えても、どこの警察も同じように賄賂が横行しているという実態。
頑固に賄賂を受け取らないセルピコは、やがて組織で孤立することになり、ついには内部告発に踏み切ります。

希望に燃えた若者が現実に失望し、葛藤し‥、やがては仲間からの裏切りに怯える‥。

物語の後半で、組織に抗おうとしていることが知られ、ブルックリンの危険な地域へと配属されてしまうため
冒頭の銃弾に倒れるシーンがいつ出て来るのかと、緊張しながら観てしまいました。

事件そのものは警察の仕掛けたことではないのかもしれませんが、
セルピコの危機に、敢えてバックアップしなかったと見える仲間の行為には、驚愕と憤りを感じますね。

警察を告発という結果だけを見ると、セルピコは英雄的でもありますが、
彼自身の胸の内では、決してやり遂げたという満足感は得られなかったのではないか。

ベッド上で見せた無念の表情に、この作品のすべてがあったように思いました。

警察組織の汚職が当たり前というのも哀しいことです。その後少しは改善されたのかしら。。
2番目の彼女がセルピコに話す、王様と井戸のお話も悪に流される人間の心情を物語っていて印象的でした。

実話ベースということもあってか、作品は決してエンタメ性に富んだものではないけれど
セルピコの心情を見事に演じ切ったアル・パチーノの演技力は見応えがありました。

あ、ひとつ発見が。
アルパチの声って政治家の田中眞紀子さんの声に似てます(≧∀≦)ノ



★★★★☆