しまんちゅシネマ

映画ノート

ヤング@ハート


2007年(イギリス)監督:スティーヴン・ウォーカー出演:アイリーン・ホール、スタン・ゴールドマン、フレッド・ニトル、ドラ・モロー、ボブ・シルマン(指揮者) 【ストーリー】アメリカ、マサチューセッツ州の小さな町ノーサンプトン。1982年に”Young@Heart”と呼ばれるコーラス・グループが誕生した。世界中を飛び回るこのシンガーたちは、平均年齢80歳のおじいちゃんとおばあちゃん。そんな彼らが1年に1回のコンサートに向けて、ソニック・ユースラモーンズボブ・ディラントーキング・ヘッズの曲の練習を重ねていく。
機内鑑賞第一本目はこれでした。
映画館で予告を見たときから気になってたので、わくわくしながら観ましたよ~。

これなんと平均年齢80歳という、おじいちゃん、おばあちゃんたちによるコーラスグループヤング@ハートの活動を収録した音楽ドキュメンタリー映画なんです。
イギリスのテレビ局でドキュメンタリーとして放送され、その後映画となりました。

彼らの音楽というのがなんとロックやポップ!
冒頭のコンサートシーンから泣けちゃって、これは機内で観るのはやばい!!って直感したものの、
やめられない。

練習を開始する頃にはロックの曲をうるさそうに耳をふさいでいたお年寄りが、次第にノリノリに歌いだし、声も大きくなり表情も明るくなっていく。
早口のロックに悪戦苦闘しながらも、コンサートでは見事に味わい深いパフォーマンスを見せてくれるんですから、驚きです。

お年寄りの変化を見るのも楽しいけれど、おばあちゃんの奮闘振りに驚きと歓喜の表情を見せる孫たち、
夫の晴れ舞台に神妙に聞き入る年老いた妻など、彼らを見守る家族の目線も優しくて、なんだか一緒に感動してしまうんですよ。

撮影中、主要メンバー二人がたて続けに死んでしまうということがありました。
印象的だったのは、メンバーが仲間の死の知らせを静かに受け止めていたシーン。
彼らにとって「死」はやがて必ずやってくるものであり身近なものなのでしょう。

コンサート直前の仲間の死は悲しいけれど、それによってコンサートを中止したりしない。
せっかく懸命に練習してきたこととを死んだ友も知っているし、誰にも来年はないかもしれない。
「もしも私が死んだとしてもコンサートはぜひやってもらいたい。私は七色の虹のアーチに座ってみんなのパフォーマンスを見学するわ」92歳のおばあちゃんのそんな言葉も印象的でした。

すごいなぁと思うのがメンバーを指揮する指導者ボブさん。
忍耐強くメンバーを技術的に向上させる腕も素晴らしいけれど、なによりもお年寄りを生き生きと輝かせる機会を与えている点が素晴らしい。

フィルムの中に登場するビデオクリップもかなりのもので楽しめます。

笑いと感動と、生きる力をもらうような、そんな素晴らしいドキュメンタリー。


日本公開は秋だそうですよ。お薦めです!!!



★★★★*