しまんちゅシネマ

映画ノート

ホウ・シャオシェンの レッド・バルーン


2007年(フランス)監督・脚本:ホウ・シャオシェン出演:ジュリエット・ビノシュ/シモン・イテアニュ/イポリット・ジラルド/ソン・ファン/ルイーズ・マルゴラン【ストーリー】7歳の少年シモンは、パリの空を漂う一個の赤い風船を目にする。手が届かず諦めるシモンだったが、赤い風船は彼に付かず離れず、ふわふわと浮遊し続ける。そんなシモンの母、スザンヌは人形劇師。新作劇の準備に追われ神経の休まらない彼女に代わり、台湾人留学生ソンがシモンの面倒を見ることに。映画学生のソンは、やがてシモンを主役に映画「赤い風船」の撮影を開始する。
■感想
アルベール・ラモリス監督の『赤い風船』を観た時から楽しみにしていましたが
いつのまにやら日本でも公開されてたんですね~。気付かなかった。^^;

ラモリスの『赤い風船』が詩的で可愛らしく、とても魅力的な作品だったので
冒頭、街灯に引っかかった赤い風船に手を伸ばそうとる少年のシーンから、ワクワク。

少年を見守るかのように動きで、風船に命を吹き込んでいるところや
パリの空や街並を映し出す映像などは、オリジナルにオマージュを捧げているところですね。

主人公はジュリエット・ビノシュ演じるスザンヌ
人形劇師として仕事に追われ、夫とは別居中、身の回りのゴタゴタを抱え、精神的にもいっぱいいっぱい。
大声で言い合いをする母親を目の当たりにする子供は可哀想なものです。

息子のシモンちゃん(うさぎじゃないですよw)、表面には表さないものの、心の中では大きく傷ついていたはず。
そんなある日、シモンの目の前に現れるのが赤い風船です。

面白いのは少年を捉える映像表現。その多くが窓越しだったり、ガラスに映る姿だったり、
風船からの視点と思われる映像なんですね。音楽もなんだか切ない。



風船は少年の幻想だったのかもしれません。
母よりももっと不安で、助けを必要としているのは実はシモン少年。
赤い風船は少年を見つめ、見守る存在だったように思います。

途中まで、心身ともにお疲れのビノシュが少々うざかったのもあり、
『赤い風船』にこんな日常のゴタゴタいれなくても、、などと思いながら観てたんですが、
孤独で不安な、少年の胸の内を知るために必要な描写だったのでしょうね。


最後に現れる赤い風船はとても穏やかでした。
空から一望するパリの景色は清々しく、街中の日常を切り取った風景もなんだか嬉しい。
風船と一緒にパリ見学を楽しみ、少年の成長を見届けてホッとする。そんな作品でした。




★★★*☆



にほんブログ村 映画ブログランキング参加中です ←ここ(緑の部分)をクリックしていただけると嬉しいです♪ いつもありがとうございますm(_ _)m