しまんちゅシネマ

映画ノート

赤い風船


1956年(フランス)監督・脚本:アルベール・ラモリス出演:パスカル・ラモリス/シュザンヌ・クルーティエ
■感想
少年と赤い風船の交流を描いた、短編ファンタジーです。


ある日の朝、少年は学校に行く途中、街灯にひっかかった赤い風船をみつけた。
風船は、まるで意志をもっているように少年と交流を始める。
手を伸ばし、捕まえようとすると逃げていく。
そのくせ、仔犬のようにぴったりと少年の後ろをついてくる。
まるで、友だちのいなかった少年を慰めるように。

パリの街を歩く少年と赤い風船。



セリフは殆どありません。
それなのに少年と風船が確かに心を通わせていく様子に引き込まれます。
なんという斬新な映像でしょうね。
まるで意志をもっているかのような風船の動き、少年とのやり取りにホッコリ気分。

ところが、後半は思いがけない展開に‥。

少年を演じたのは監督の息子パスカル君。この時5歳だそうです。
暗い色彩のパリの街並み。赤い風船。そして青空。

ラストの映像の美しさには思わず「わぁ」っと声をあげてしまいました。
幸福感と共にやってきたのは少しの淋しさ。

子どもの夢をそのまま切り取ったような、詩的でファンタジックな世界感に圧倒されます。
カンヌ映画祭短編グランプリ受賞


この作品をモチーフにした「Ballon rouge」が昨年製作されたようです。
監督は「悲情城市」のホウ・シャオシェン、主演はジュリエット・ビノシュ。そちらも観てみたい。




★★★★☆