しまんちゅシネマ

映画ノート

脳内ニューヨーク


2008年(米)監督:チャーリー・カウフマン出演:フィリップ・シーモア・ホフマンサマンサ・モートンミシェル・ウィリアムズキャサリン・キーナーエミリー・ワトソンダイアン・ウィーストジェニファー・ジェイソン・リーホープ・デイヴィストム・ヌーナン【ストーリー】世界的な舞台演出家のケイデン・コタール。演出が評価され、莫大な資金を得たケイデンは、次の作品として巨大な倉庫を買い取り、そこにニューヨークを作り出し、自分自身を題材にした舞台を作り出そうとするが。。

黒く塗りつぶせ!アカデミー&インディペンデント・スピリット賞

■感想
マルコビッチの穴』『エターナル・サンシャイン』の脚本家チャーリー・カウフマンの初監督作品です。

有名な劇作家のケイデン(フィリップシーモア・ホフマン)は、新聞の死亡欄が気になる中年男。
自分の身体の不調や、やがてやってくるだろう「死」を怖れ、妻や子供のことにも関心が向かない。

そんな折り、舞台の演出が評価され、莫大な資金を得たケイデンは、ニューヨークの巨大な倉庫を買い取り、
そこに架空のニューヨークを作り出し、「死」に向かう自分自身を題材にした舞台を作ることに。

タイトルになっているSYNECDOCHEというのは辞書で調べると「提喩(法), 代喩:sailでshipを表すように一部で全体を, 全体で一部を, 特殊が一般を, 一般が特殊を表す法」とありました。

楽しみにしていた作品ですが、とにかく難しい^^;
というのもケイデンの演出する舞台が、彼の現実の生活と交錯してしまうのと、時間軸もバラバラなんですね。

『エターナル~』で時間軸の混乱を解く鍵がケイト・ウィンスレットの髪の色であったように、
今回の鍵はホフマンのハゲ具合^^; ま、40年という年月の出来事なので、老い加減でわかるんですけどね。

非現実的な部分満載なので、この映画をきちんと理解しようと構えていると、途中で置いてけぼりを喰らうこと必至。
でも我慢して最後まで観てようやく映画の言わんとすることが見え、さらに2度3度と鑑賞を重ねるごとに
この作品の素晴らしさがわかってくるのだと思います。



私は2度目の途中でこのレビューを書いてます。なので完全には良さもわかっていない段階。
それでも2度目になると、なんでもないBGMに聴こえた冒頭の子供の歌の歌詞にも涙があふれる思いでした。

主人公の孤独に後半は心が震えっぱなしになります。
でもそこに一度の鑑賞で辿り着くものかどうか。。

おそらく半数の人は途中で置いてけぼりを喰らうでしょうね、多くのカウフマン映画と同じように。
私はもう一度じっくり観てみます。時間の無い時に観たのは間違いでした。

ホフさんは流石の一言。女優陣もベテラン、中堅どころの上手い役者が揃っていずれも素晴らしい。
オフビートでシニカルにちょっと笑える部分もありますが、多くの作品紹介にあるようにコメディと思っていると
とんでもないです。

評価は次回に^^;