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映画ノート

アトランティック・シティ


1980年(フランス/カナダ)監督:ルイ・マル出演:バート・ランカスタースーザン・サランドンミシェル・ピッコリ/ケイト・リード/ロバート・ジョイ【ストーリー】ニュージャージーのアトランティック・シティでディーラーの仕事をしている女性サリー。彼女のもとに、別れた夫デイヴと妹が転がり込んできた。デイヴは組織から大量のヘロインを奪い、それを捌く算段をしていたのだった。サリーは隣室の元ギャング、ルーの手を借りて、ヘロインを売りさばこうとするが……。

ヴェネチア映画祭特集 8本目 金獅子賞『アトランティック・シティ』

■感想
死刑台のエレベーター』のルイ・マルの作品です。

アトランティク・シティはかつて賑わったカジノの街。
この街に暮らすサリー(スーザー・サランドン)はオイスターバーで働きながら、カジノのディーラーになることを夢見る女性。
ある日サリーの元に数年前に妹と駆け落ちした夫デイヴ(ロバート・ジョイ)が臨月の妹を伴いやってきます。
その目的は偶然手にした麻薬をこの街で売りさばくこと。
元々はギャングのものだった大量の麻薬を手にしたことから、デイヴはギャングに追われ
デイヴを手伝ったアパートの隣人(しがない元ギャング)のルー(バート・ランカスター)とサリーの身にも危険が迫ることになる、、というお話。



サリーを演じるスーザン・サランドンが素敵!
仕事から帰るとレモンを搾って身体に塗るのが日課、そのたわわな胸元の美しいこと。
で、隣人のルーは毎晩それを窓越しに覗き、秘かにサリーに思いを寄せているんですね。

デイヴの麻薬がきっかけで、それまで隣人でありながら声も交わしたことが無かった二人が出会い
ギャング相手に一騒動。



実は小心者の年老いた元ギャング,ルーと、夫に逃げられた心の痛みを抱えたサリー
過去の呪縛から抜けられないまま生きてきた似た者同士の二人が、やがて自分の殻を破って行く様子は
近代化の波が押し寄せ、変わっていくアトランティックシティそのものを映しているようでした。
ランカスターの哀愁。ちょっとしょぼくれたニヒルさもいいですね。

ノスタルジーとセンチメンタル、そしてアドベンチャー
爽やかさな心地良さの残る作品。いいですよ。

アカデミー賞では作品賞、監督賞、主演女優、男優、脚本賞など数部門にノミネートされました。

★★★★☆