ふたりのベロニカ
1991年(ポーランド/フランス)
出演: | イレーヌ・ジャコブ | |
フィリップ・ヴォルテール | ||
サンドリーヌ・デュマ | ||
■感想
世界の巨匠シリーズ5本目
今日も昨日に引き続きポーランドの巨匠クシシュトフ・キエロフスキー監督の作品ですが
ポーランドと言えば、大統領の専用機が墜落し、大統領夫妻含む132人全員が死亡したと
ニュースが入り驚いています。
専用機は「カティンの森事件」の慰霊祭に向かう途中だったというのが、なんとも哀しい。
大統領はじめ、関係者の心を休めるものかもしれません。ご冥福をお祈りします。
さて、キエロフスキー監督作品、今日は『ふたりのベロニカ』です。
タイトルのとおり、ふたりのベロニカが登場するのですが
一人はポーランドで生まれ育ち、一人はフランスで生まれ育ったベロニカ。
(ただし名前のつづりは WeronikaとV?roniqueとなってました)
不思議なことに、姿かたちも生年月日も、心臓に持病があることも同じ
音楽を愛すことも同じで、ポーランドのベロニカは声楽を学び
フランスのベロニカは小学校で音楽教師をしています。
ふたりには出生の秘密があり、実は双子!というオチに違いない、と思ったのだけどそうではない。
じゃあ何?と思うのだけど、ただただ神秘的なお話として描かれてるんですよね。
全く別の国に暮らす二人ですが、それぞれに「もうひとりの自分」を意識しあっています。
ある日、ポーランドのベロニカは、コンサートの舞台で歌っている最中に激しい胸の痛みに襲われ
そのまま帰らぬ人となってしまうのだけど、その瞬間フランスのベロニカは
激しい喪失感に、理由も分からないまま涙を流すのでした。
よく、双子の片割れが危ない目に遭うと、もう片一方がその危険を察知したり、
離れていても同じ痛みを感じるということを聞いた事があります。
この映画のふたりのベロニカはまさにそんな存在
人間はもろく壊れやすい。だから神は互いを補いあうために、同じ人間をお創りになった。。
もしかしたら、自分と全く同じ人間が、どこかの国に存在するのかもしれません。
映画はその神秘性が引き合わせたラブストーリーでもあります。
ベロニカの歌声も美しく、コンサートで彼女が歌う曲は、フランスのベロニカが学校で生徒に聞かせたり
後に出会う男性の人形劇で使われていた、、これもまた運命的なのです。
ベロニカを演じたイレーヌ・ジャコブはカンヌで女優賞獲得。
彼女は後に『トリコロール/赤の愛』にも主演してるんですね。
監督の最後のミューズだったんだ。とにかく綺麗!
イレーヌのみずみずしさと主題歌の物悲しい旋律が心に残る
なんとも不思議で美しい作品でした。