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映画ノート

ウェイティング・フォー・スーパーマン/Waiting for ‘Superman’ (原題)


 
オスカー直前スペシャル第5弾~!!
 
今日はドキュメンタリー賞にノミネートされてるこの作品を。
ウェイティング・フォー・スーパーマン/Waiting for ‘Superman’ (2010)アメリ
監督:デイヴィス・グッゲンハイム

■感想
アメリカの教育システムを取り上げたドキュメンタリー。
 
映画『プレシャス』を観た時に、ヒロインのプレシャスが読み書きが出来ないことに
先進国といわれる国で文盲?と驚いたばかりだったけど
低所得者のコミュニティではまともな公立学校がないという現実。

ブロンクスのような犯罪の多い地域では、刑務所の維持費も莫大で、教育に十分な予算がかけられない。
そんな地域に飛ばされるのは、くず教師が大半で
子供たちは教育に興味を持てるはずもなく、多くの子供が退学していきます。
どうにか卒業したとしても、大学に行く学力を得るには至らず
貧しさから、犯罪に走るという悪循環なんですねぇ。
 
映画はアメリカの教育現場の抱える問題を炙り出す一方で
教育に未来をかける5つの家庭の子供の姿を追います。
 
彼らの何人かが目指すチャータースクールというのは
アメリカで最近増えてきている新しいタイプの学校らしいのですが
より良い教育を求める低所得者にとっては一縷の望み
ところが入学者の多さから狭き門、しかも入学を決めるのはくじ!

もうね、学ぶことにこんなに意欲を持っている子供たちが
その機会を与えられないほど悲しいことはないですよ。
くじが外れ肩を落とす子供の姿には涙です。

映画の中で、コントロールを失ったスクールバスが坂道を猛スピードで下り
それをすんでのところでスーパーマンが救うというシーンが登場します。
 
「スーパーマンを待ちわびて」
アメリカの教育システムはまさにこのスクールバスのようなもの
スーパーマンに助けてもらわなければならない というところがタイトルの所以でしょうか。
 
でもね、スーパーマンは実在しないんです。
教育を変えていくのは、私たち
まずは教育の充実を と切実に考えさせられる映画でした。
 
監督は『不都合な真実』のデイヴィス・グッゲンハイム
様々なデータを分かりやすいイラストで示す手法も監督らしいところですが、
問題を解決し、より良いところに向かおうとする強い志が感じられるのがいいですね。
号泣ですよ。

ドキュメンタリー部門は今年は票が割れそうですが
本作はサンダンス映画祭ドキュメンタリー部門で観客賞受賞
アメリカ映画協会賞の特別賞など受賞しています。