しまんちゅシネマ

映画ノート

ウェルカム・ドールハウス


大映画祭特集 5本目
サンダンス映画祭関連 最後は 1996年のグランプリ受賞作品
鬼才トッド・ソロンズのデビュー作『ウェルカム・ドールハウス』です。
ウェルカム・ドールハウス (1996)アメリ
監督:トッド・ソロンズ
出演:ヘザー・マタラッツォ/エリック・メビウス/ブレンダン・セクストン・Jr/ダリア・カリーニナ/マシュー・フェイバー
 
 

こりゃまた、なんともイタい映画だったね~。
主人公のドーン(ヘザー・マタラッツォ)はニュージャージに暮らす11歳の女の子
ダサいメガネ、ダサい髪型、なんでそんなの着るんだ!と驚くばかりにダサい服(笑)
半開きにされた口が、けっして利口そうに見えず  申し訳ないけど「ブス」・・・
 

ところが微妙にKYで、夢は人気者になることだったりするし
↑こんなイケメン君に恋して、アプローチしたりするから、なおさらイタく
こういう子は、当然のようにイジメの対象になる。
まぁこういうの見ると、子供が苛められるのは、親の責任もなきにしもあらずと思ってしまうね。
 
「ブス」「レズ」「キモい」
子供ってのは、ノリで酷い言葉を浴びせたりするのね
相手がどんな風に傷つくか なんて あまり考えちゃいない。
毎日そうやって苛められてるドーンだけど
時には、自分よりも立場の弱い友人に「オカマ」と怒鳴って簡単に傷つけてしまうし
要領が可愛い妹が誘拐されたときも、内心は親の愛情が自分に向くことを期待してたり
子供ってのは とことん残酷な生き物だという描き方で
これが結構リアルでもあるんだな。
 
でもって、ドーンを苛めるのは同級生たちだけではない
ドーンは親にも教師にも疎まれ、叱られたり、差別されたり
いわれのない罰を受けたりするんだよね。
まるで「ブス」は、このくらい言ってやっても平気といわんばかりの仕打ち
ドーンが気の毒で、アイタタ なんだけど
ごめん、ちょっと笑っちゃうわ という面白さがある。
トッド・ソロンズ監督のその後の作品を観ると、もっと過激で危ないものになっていくから
これはまだ可愛らしいのだけど、
人間の痛みや弱さをシニカルな笑いに変えて、シュールに見せきる監督技はデビュー作から健在っすね。
 
まぁ、こう書くと、監督って意地の悪い人に思ってしまうけど
どんなことで人が傷つくのかがよくわかっているし、本当は人の痛みのわかる人なのかもしれない。
だから、そのちょっとした描写にハッとすることも多いし
シニカルな描写の中にも、どこかしら希望を追い求める主人公たちの
けなげさにも心を打たれることが多いですね。
 
映画の中で、ドーンの状況は、最初も最後も大して変わってないのだけど
映画を観てる自分の気持ちが少し変わった気がするんだな。
主人公の痛みに共感し、少し優しい気持ちになるというのかな、
だから、観終わって、いつも後味が悪くない
トッド・ソロンズ マジックだわねぇ。
 

 
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