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映画ノート

WIN WIN ダメ男とダメ少年の最高の日々

 
『扉をたたく人』のトーマス・マッカーシー監督、ポール・ジアマッティ主演のビターなコメディです。
インディペンデント・スピリット賞脚本賞にノミネート、
ナショナル・ボート・オブ・レビュー賞でインディペンデント映画トップ10に選ばれています
WIN WIN ダメ男とダメ少年の最高の日々(2011) アメリ
監督:トーマス・マッカーシー
出演:ポール・ジアマッティエイミー・ライアン/Alex Shaffer/バート・ヤング
    
ジアマッティ演じるマイクは、高校のレスリングコーチを副業にするほど羽振りの悪い弁護士。
ある日、独居老人レオ(バート・ヤング)の弁護を引き受けたマイク。
自らを後継人として認定することを裁判長に願い出て、レオを老人ホームに入れることで裁判はけりがつく。
ある日、レオの家の様子を見に行ったマイクは、老人の家の前で一人の少年を発見。
家出してレオに会う為にやってきた孫のカイル(Alex Shaffer)だった。
仕方なくカイルを家に連れ帰るマイクだったが・・・・。
 
タイトルのwin‐winとは、どちらにもメリットがあるという意味
独居老人をホームに入れ、後継人になることでその報酬を手にする
おまけにレオの孫のカイルはレスリングの才能があり、弱小チームを勝利に導く要となる と
一見してダブルでいいことがやってきた、マイクにとってwin‐winシチュエーション!
な わけないよね。
だって老人はホームに入ることなど望んでいないんだもの。
それはマイクだって分かっている。だけどお金が欲しいんです。
 
3本目の監督作品となる本作で、トーマス・マッカーシー
ちょっとシニカルながら優しい視線で、人と人とのつながりを描いています。
 
win‐winというタイトルとは裏腹に
映画の結末はビターで、心が痛むものではあるけれど
「人は誰でも失敗する」と、人の弱さに触れ
失敗しても、そこからどう行動するかが大事と教えてくれます。
 
自分のやってることの罪の意識にさいなまれるマイク。
こういう情けないけど、根は正直なオヤジの葛藤を描かせたら
ジアマッティに敵う人はいませんね。
 
マイクの妻を演じたエイミー・ライアンもとってもいい。
最初は不良っぽいカイルに警戒していたけど、じきに彼のよさに気づき
受け入れる柔軟さを持っている。
大きなハートで夫マイクを支える強さは妻の鑑。女が惚れる女でした。
 
ちなみにカイルを演じるアレックス君はこの映画が本格的なデビューとなる高校生。
レスリングは実際に高校の州チャンピオンに二度輝く腕前だそうです。
 
マイクの嘘がばれたらどうなるの~とハラハラしながら、最後はジンワリ。いい映画でした。