しまんちゅシネマ

映画ノート

生と死を描く短編『ふくろうの河』

今日はリンカーンに関連し、南北戦争ものを。
といっても、リンカーンも出てこないし、戦争を見せるわけでもないのですが。
アメリカの作家アンブローズ・ビアースの短篇小説“アオル・クリークの出来ごと”を
冒険者たち』のロベール・アンリコが脚色し監督しました。



ふくろうの河
1964年(フランス)
原題:La Riviere Du Hibou
監督:ロベール・アンリコ
出演:ロジェ・ジャッケアン・コーナリー


南北戦争のさなか、北アラバマの鉄橋の上
南部の農場主の男が、北軍の兵士により絞首刑に処されようとしている。




準備が淡々と進む中、男は美しい妻のことを想う。
しかし、無情にも橋げたは落とされ、男は無残に宙吊りに・・
が、そのとき奇跡が起きた。
首に捲かれたロープが切れ、男は河に落下したのだ。。




えーーっと、あっという間に全文書いてしまいそうなんですがw
これわずか26分という短編なんですね。
死を覚悟した男が、思わぬアクシデントから河に落ちる。
しかし北軍がこれを許すはずもなく、容赦なく銃弾を浴びせかけます。
この攻防が実にリアル
私たちは男の目線を通し、死の恐怖をともに味わうことになるんですね。
面白いのは、同時に「生」がクローズアップされている点。
拾った命を全身で喜ぶ男を
自然界の明るい生の映像とともに描いてみせるところは
ブルーベルベット』にも通じるところがありますね。

やがて男は、妻子の待つ家に向かってひた走る。
けれど映画は衝撃的なラストを迎えることになります。
もうね、瞬間、ゾワワと全身に鳥肌です。
ここでもリンチを思い出したけれど
多くの映画に影響を与えたのでしょうね。
わずか26分に生と死が見事に対比された衝撃作でした。
カンヌ映画祭短篇グラン・プリを受賞しています。


★★★★