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映画ノート

レイチェル・ワイズ『愛情は深い海の如く』





少し濃い系が続きますがごめんなさい。
今日の美女はレイチェル・ワイズ
1952年の舞台劇の映画化の『愛情は深い海の如く』を観ました。





愛情は深い海の如く
原題:The Deep Blue Sea
2011年(イギリス)
監督:テレンス・デイヴィス
出演:レイチェル・ワイズトム・ヒドルストン、サイモン・ラッセル・ビール、アン・ミッチェル



親子ほどに歳の離れた判事の夫ウィリアムと裕福に暮らすへスターは、元英国空軍パイロット、フレディと出合い恋に落ちる。二人の仲を夫に知られ、家を出てフレディと暮らし始めるへスターだったが・・。

まだ日本公開の予定のない作品ですが、いくつかの映画サイトでは「人妻が官能的な情事に溺れていく」って感じで紹介されてます。でもそれを真に受けて観るとちょっと予定が狂うかもw

決してラブラブな恋物語に終わらないのは、タイトルからもわかります。
というのも、原題の『In the Deep Blue Sea』はbetween the Devil and the deep blue seaというイディオムからきていて、どっちに転んでも命に係わる選択をせざるを得ない状況をいうようです。

映画はへスター(レイチェル・ワイズ)が自殺を図るところから始まって
へスターに自殺を決意させる何があったのかを時間軸を交錯させて見せる作り。
夫との結婚生活も不倫相手との暮らしもどちらも門前の虎、門後の狼というわけです。

役者はみんな頑張ってるし、戯曲らしい会話劇も知的で面白いんですが、いかんせんヒロインのジレンマがあまりに古臭い気がして、共感しにくいところがあります。へスターがフレディのどこに惹かれたのかが判りにくいのも難点。




不倫相手フレディは『マイティ・ソー』のロキ役トム・ヒドルストンでしたよ。
戦争で活躍した栄光を未だに引きずりつつ、コンプレックスから不安定な精神を抱えた男という難しい役どころを上手く演じてました。冷酷さと、捨て犬のような頼りなさが混在するところがいいね。

誰にも救いがない悲痛な話ではあるけれど、
どうしようもないながら、愛は存在したのだという表現は好き。
50年代を意識したであろうクラシックな作りも趣があり
3回も観てしまったので挿入歌が頭の中でヘビロテ中~。

ちなみにヴィヴィアン・リー主演の『愛情は深い海のごとく』は同じ戯曲の映画化ですが、原題のいわれからしても、映画の内容からしても邦題に異議ありですね。

★★★★