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映画ノート

彼女はパートタイムトラベラー

インディペンデント・スピリット賞のノミネートが発表になりましたね。
ということで、今日は新人監督賞にノミネートされたこんな一本を。





彼女はパートタイムトラベラー
2012年(アメリカ)
原題:
Safety Not Guaranteed
監督:Colin Trevorrow
出演:オーブリー・プラザ、マーク・デュプラス、ジェイク・ジョンソン、 Karan Soni、David Schultz




大学卒業後、新聞社の研修生として働き始めたダリウス(オーブリー・プラザ)は
先輩記者ジェフの「奇妙な広告記事の真相を探る」という企画に興味を持ち、
インド人学生研修生と一緒にジェフの取材旅行に同行する。

奇妙な広告というのがこれ



一緒に過去に行く人募集 これは冗談ではない
報酬支払いは帰ってから 武器持参のこと
一度だけやったことがある 安全は保障しない 
なんとこれ、実際に監督と脚本家が雑誌の募集広告で見つけた文章で
二人はこの広告からアイディアを得て映画を作ったのだそうです。




ダリウスら3人は住所から投稿者ケネスを割り出すことに成功。
インタビューが失敗に終わったため、ダリウスが応募者を装いケネスに接近し
二人は過去にいくミッションの準備を始めます。
実はダリウスは母親の死に責任を感じていて、過去に戻ってその事実を変えたいと思っているのね。

実際にタイムトラベルするのかは観て確認していただくとして
本作はSF的なプロットよりも、何故過去に行きたいのかをキーワードに
トラウマを克服し、人生を切り開いていく登場人物の成長を優しく見守る作品でした。

初監督、低予算作品でありながら80年代のSFを彷彿とさせる映画作りは新鮮で
優しさと苦さが混在する奇妙なロードムービーな風合いも面白い。

暗い目をしてブスっこだったヒロインが(失礼w)
いつのまにか角が取れて優しくなっていたし。

私たちは時間を遡って事実を変えることはできないけれど
その時に立ち返り反省することは出来る。
あの時こうすればよかったと思うことの中には、今からでも修正可能なこともあるのでは?
そんなことを教えてくれる作品でした。
過去からひきずってきた夢に敗れることもあるけれど
踏ん切りがつけば未来に向かう新しい力にもなる。
それぞれの成長に最後はジワジワと感動です。

ちなみに映画の元となった雑誌の広告は
スペース埋めのために投稿されたフェイクだったとのこと。あら、残念
サンダンスで脚本賞を受賞
ケネスを演じるマーク・デュプラスは『僕の大切な人と、そのクソガキ』などの監督さんですね。

★★★☆